ABCネットニュースNETNEWS

(発行日 2026年9月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士  坂部 達夫


 アインシュタインの「想像力は知識を凌駕する」という言葉に深く共感しています。知識は過去の蓄積ですが、未来を切り拓くのはいつだって「こうありたい」と描く想像力だと信じるからです。そしてこの想像力こそが、停滞を打破し、私たちの心身を突き動かす最大の原動力となると思っています。仕事においても、蓄積されたデータや専門知識だけでは、真の創造は生まれません。「こんな未来をつくりたい」「お客様にこんな驚きを届けたい」という鮮烈なイメージこそが、知恵を結合させ、行動を生み出すエネルギーとなると信じます。知識をベースにしながらも、それを軽やかに超えていく想像力が羅針盤となると思っています。


 

今月のトピックス

電子記録債権

税理士  坂部 達夫  


 「でんさい」という言葉を聞いたことはありませんか。銀行が、手形・小切手を取り扱わなくなるので、徐々に、取引先との受け取り・支払いを「銀行振込」に、切り替える会社が増えています。手形・小切手の代わりに、にわかに注目されているのが「でんさい」です。正式名称は「電子記録債権」といいます。以下、趣旨やその取扱いなどの注意点を解説します。

1.電子記録債権の概要と手形廃止の背景

 政府および全国銀行協会(全銀協)が進める「2026年度までの約束手形廃止・小切手全面電子化」の方針に伴い、従来の「紙の手形」から「電子記録債権(でんさい等)」への移行が進んでいます。
 電子記録債権は、2008年施行の「電子記録債権法」に基づき創設された「第3の金銭債権」です。手形のような紙の有価証券ではありません。電子債権記録機関の記録簿への「記録」によって発生・譲渡の法的効力が生じるものです。
 紙の保管・郵送・取立手続が不要となり、印紙税(収入印紙)も非課税となる利点があります。また、手形と同様に「抗弁の切断(切断効)(注1)」や「2回の支払不能による取引停止処分」といった法的効力も確保されています。

  (注1)抗弁の切断:手形を譲り受けた第三者(所持人)に対して、振出人が「前の手形所持者との間にトラブルがあったから払わない」という主張(抗弁)をして
      支払いを拒むことができなくなる仕組みのこと


2.【受取側(債権者)】の注意点と実務上のポイント

 受取側にとって電子化は、保管・紛失リスクのゼロ化や期日当日の自動入金といった大きなメリットがありますが、以下の点に留意が必要です。

(1) 利用機関・口座情報の照合と管理
 発行側と受取側の双方が同一または連携する電子債権記録機関(でんさいネット等)に登録していないと受領できません。自社の契約者番号や口座情報の正確な管理・提示が必要となります。

(2) 発生記録通知の検収体制
 発生記録の通知が届いた際、金額・支払期日・取引内容が請求書や契約内容と一致しているか迅速に突合する社内ルールを作る必要があります。

(3) 分割譲渡・割引時の遡求(リコース)リスク
 額面を分割して第三者へ譲渡(支払)できる利点がありますが、元々の債務者が不渡りを起こした場合、譲渡人(受取側)は二次的な支払責任(裏書人同様の遡求義務)を負う点に注意が必要です。

(4) 不渡り時の回収手続(手形訴訟との差)
 有価証券ではないため、万が一の回収・保全にあたり「手形訴訟」を利用することはできず、「通常の民事訴訟」の手続きを経ることになります。

3.【発行側(債務者)】の注意点と実務上のポイント

 発行側は、紙の手形振出からオンライン操作へとプロセスが変化するため、内部統制と資金管理の再構築が重要です。

(1) 支払サイト「60日以内」への対応
 行政指導(経済産業省・公取委等)や下請法・建設業法の運用指針見直しに伴い、支払サイトは60日以内への短縮が強く要請されています。従来の長期サイト(90日・120日等)からの見直しに伴う資金繰り管理が必要です。

(2) 二重決済・入力ミスの防止(内部統制)
 オンライン操作への移行により、「口座振込とでんさい発行の重複」や「金額・期日の入力ミス」のリスクが生じます。システム上の「作成者(担当者)」と「承認者(決裁者)」の権限を分離する二重承認体制の整備が不可欠です。

(3) 発行後の取消制限
 発生記録完了後、受取側が支払保証通知を受領・承諾した後は、相手方の同意がない限り一方的に請求を取り消すことができません。誤操作時の緊急連絡・取消のための手順をあらかじめ定めておく必要があります。

(4) 税務・会計および契約の整備
 収入印紙代が非課税となる一方、勘定科目に「電子記録債務」を新設すること、および取引基本契約書における支払規定の更新(「手形」から「電子記録債権」への変更)をしておくことが必要となります。

4.まとめ

 電子記録債権への完全移行は、業務効率化とペーパーレス化をもたらす一方で、受取側・発行側の双方が、①「サイト短縮への適応」、②「IT全般統制(二重承認体制)の構築」、③「法務・会計規定の更新」をセットで進めることがポイントになります。



私のオススメ       「 すみだストリートジャズフェスティバル」

 
 墨田区では、すみだストリートジャズフェスティバルというイベントが毎年開催されています。
 弊所の最寄り駅である錦糸町駅の周辺、錦糸公園、すみだトリフォニーホールなどの約30の会場で様々なアーティストが演奏しています。このフェスティバルはどの会場であっても入場料は無料のため、気軽に立ち寄ることができます。また、錦糸公園ではグルメイベントも同時に開催され、全国のクラフトビールやジビエ料理などを堪能でき、音楽と食を堪能できるイベントです。
 ストリートで行われる音楽フェスとしては規模が大きく、来場者数は例年2日間で約10万人にものぼるそうです。
 今年は10月17日(土)と18日(日)に開催されますので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。



 

あとがき
 毎週のように「線状降水帯」が現れ、日本のあちこちに大きな傷跡を残していく・・。先月の千葉では動けなくなって放置された車が3000台以上もあったとか。さすがに私も発電機や水等、防災用品を揃え始めたが、どれだけ備えても憂いはあるこの頃である。(喜志)


社長メニュー(ASP版) 毎月更新!お役立ちコーナー

戦略経営者システムQ&A 補助金・助成金情報

経営革新等支援機関

ページ
最上部
TOP
PAGE
Mail