会長コラムCOLUMN
第30回 「背筋が伸びました」 2012.09.25
早稲田大学を退任された品川芳宣教授のコメントを聞く機会がありました。
これは関係者からの間接的なコメントであることをご承知おきください。
従来から、先見に富む教授のコメントです。私のみならず同業者に少なからず参考になると思いましたので、
刺激的ではありますが掲載します。それは早稲田大学専門職大学院の教職員とOBが一同に会する
イベントにおける挨拶でした。
「専門家(税理士)は、常に自転車をこぎ続けるように勉強を続ける必要がある。
それができない有資格者は単なる駄目人間にすぎない。」
さて、先見に富む品川教授の仰ったこと。単純な意味ではないでしょう。
思うに、「勉強」とは会計・税法・経営その他関連諸法規で事務所の顧問先にとって必要な知識はもとより、
その状況に応じた活用の仕方(知恵)まで含んでいることはもちろんでしょう。
さらに、常に変化し続ける経済現象を追いかける税法をみて、それを果敢に追い求める心的態度にまで
言及しているのだと考えます。
次に、「有資格者」。資格は外面的には、その最低レベルを保有している事を担保します。
他者はこの資格保有者に自己の税務に関する事象を全面的に委任します。
その法的効果が自らに帰属することを知ってか知らずかですが。そのあとは、本人と有資格者との関係です。
委任を受けた仕事の結果は、ここで「勉強」の成果をなって現れる事を、委託者・受託者ともに知ることになります。
資格をもっていなければ「しょうがないね」で済むことでも、持っているがゆえに、
継続的に自らを高める努力を放棄した有資格者を「駄目人間」と切って捨てているわけです。
もちろん、このコメントの裏には、品川教授の専門家に対する期待と愛情があることは間違いない。
久しぶりに、品川教授の辛口コメントを聞いて「背筋が伸びた」坂部でした。