会長コラムCOLUMN
第31回 「高度な専門家責任の完遂のために」 2013.03.04
民法で善管注意義務という用語があります。
例えば、人から預かったアパートを管理する仕事をまかされているとします。その際の「注意」の程度をあらわす用語です。「善良な管理者の立場で最大の配慮をお願いします。」という意味です。
ところで我々のような税理士・弁護士・司法書士などのいわゆる法的な専門家には、さらに上位の注意義務が課せられています。それは、「高度な注意義務」と言われているものです。そして、この責任を果たさなければ「損害賠償」も覚悟しなければならないことになります。つまり法的な専門家は、状況や法律解釈などに細心の注意を払う必要があるのです。
それでは、我々は普段の仕事でどのような事柄に気をつければよいのでしょう。
第一歩は、全ての専門家に共通しますが、判断しようとしていることに対して最大の注意を払って情報をとることです。現状を総合的に把握するために、しっかりヒアリングすることです。
実は、ヒアリングの際に専門家としての差が出ます。その原因は「心的態度」です。「こんなことを聞いたら失礼にあたって仕事を切られるかもしれない。」、「相手はこんなことはしないだろう。」、「こんなことは知っているはずだ。」などといろいろな雑念でクリアに情報が入ってこないケースがあるのです。
結論は、「気持ちを穏やかに、信念をもって、欲(自分を良く見せようなど。)に引っ張られず。」を心がけることです。依頼人に満足していただくと同時に自信を持った仕事をするための原点です。もちろん、永遠のテーマなのですが。