会長コラムCOLUMN
第35回 「日本の伝統的意識」 2014.02.19
2月17日(月)の日経新聞のコラムにこんな記載がありました。「悪いニュースばかり目立つが、都会の大雪には良い点が一つある。困っているはずなのに街で会う人々が明るく生き生きとした顔になる。」その理由を「誰をも等しく襲う悪循環に遭遇すると人は他者に優しくなるらしい。」としています。
3.11の時も災害時に起きやすい不正行為は、ほとんどなく他人の苦しみを自分のこととしてとらえ、その自然な行動は外国から「秩序正しい日本人」として称賛されていることを紹介しています。
このような事は「日本人として日常的にあるよね。」というのが我々の感想であり、共感をさそうところです。「なぜだろう」というと心情的にそうだからというしかないのですが、実は「四摂事」の実践ということにヒントがありそうです。
その「四摂事」とは、誰もが日常生活を送る上で簡単にできる仏教上の四種の修行法です(曹洞宗の道元禅師が推奨されました)。「摂」は納め取るという意味で、「集団をまとめる4つの方法」と言い換えることもできます。
4つの修行法とは、下に示したとおりです(かなり意訳しています)。
(1)布施・・・・わがままな欲を捨て、物でも心でも、他に与え、他を生かすという生き方です。
(2)愛語・・・・常に心を清め自然に出てくる言葉として、やさしい慈愛の言葉がけをすることです。
(3)利行・・・・見返りを求めず、ひたすらに他を利すること、無条件に相手のためになすことです。
(4)同事・・・・あなたのよろこびは私の幸せ、自分も相手も思いやる心で一つになれるのです。
この四種の行為を日常で行えば、自然にあなたを取り囲む環境が良い方向に向かっていくし、周囲の人々はあなたを頼るようになります。また、この実践は子育てや会社経営、グループ活動のまとめなど、人間関係にかかわるあらゆる事象に応用が利きます。
もちろん、すぐに結果が出る行為ではありません。少しずつでも長く続けて習慣化することが重要です。ちなみに、日経新聞の記事は、(4)同時のことで、相手の立場に立って思いやるということです。さらにいうと、坂部は心がけてはいますが、しょっちゅう挫けています。