会長コラムCOLUMN

第40回 「浮上したアドラー心理学」 2017.03.02

ダイヤモンド社から「嫌われる勇気」という書籍が出版されています。この本は、岸見一郎さんという哲学者と古賀史健さんというライターの共著で、「アルフレッド・アドラー」という心理学者の思想を「哲人」と「青年」の対話により紹介する内容となっています。
 
カバーには、次のような内容の抜粋が書かれています。
青年 「みんな自分のことだけを考えて生きている。それが現代の社会というものです。
    さあ先生、お答えください。
    あなたはこれだけの現実を前にしてもなお、世界はシンプルだとおっしゃるのですか?」
哲人 「わたしの答えは変わりません。世界はシンプルであり、人生もまたシンプルです。」
青年 「なぜです?誰がどう見ても矛盾に満ちた混沌ではありませんか?」
哲人 「それは『世界』が複雑なのではなく、ひとえに『あなた』が世界を複雑なものとしているのです。」
青年 「わたしが?」

 そして、109頁には、この本の核心となる生きる上での目標が示されています。行動面での目標は、「自立すること」と「社会と調和して暮らせること」、そして心理面では、「私には能力がある」という意識、そして「人々は私の仲間である」という意識の醸成をあげています。

 乱暴に要約すると、他者との関係を切り離すことにより自立し、能力は今・ここを生き切ることに集中することにより磨いていく、その結果として社会に馴染み、他人との関係性(貢献感をもって)を良好にし、世界観はシンプルに、そして幸福感に満たされることになるというものです。

 わかったようなわからないような感じですが、アドラーは「人生は他者との関係性(人間関係)で決まる。」と言い切っています。少し例えを交えて解説しましょう。

 多くの経営者が嗜むゴルフですが、よく「人生」にたとえられます。なぜ「人生」に例えられるかという、「思い通りにならないから」。そして「プレーするのは他ならぬ自分自身で、審判がいない。」からです。小さなゴルフボールを思い通りの場所へ運びたいのですが、狙えば狙うほど右へ行ったり左へ行ったり、たまたま当たってまっすぐ行ったボールがデボット(芝生がけずれた跡)につかまったり、バンカーへ入ったりします。その結果、愚痴と言い訳が始まります。天気のせいにしたり、ゴルフ場のせいにしたり、挙句の果てはキャデイさんのせいにしたりするのです。
 目標を立てたスコアは開始後、数ホール目で早くも下方修正して、「これは練習」などと自分に言い訳します。ゴルフを複雑にし、不幸感に襲われることになります。

 アドラーの提唱するようにゴルフを考えてみるとどうなるのでしょう。環境と自己を切り離して心を自立させ、己ができる最善をつくすことにより、ゴルフ場の自己以外の世界に馴染んで結果を自然と受け入れる。そうすれば、ゴルフもシンプルになり、幸福感に浸ることができるというわけですね。

アドラーの思想を、ゴルフで実践できれば、全てのゴルファーを幸福にできるのではないかと考えたのは私だけ?
いずれにしても、アドラーの思想を世に送り出してくれた岸見一郎さんと古賀史健さんには深く敬意を表するところです。 

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