会長コラムCOLUMN
第46回 「こんな時代だから一日二食」 2020.06.08
お客様で新宿に拠点を構える不動産活用の会社があり、その会長から受けた薫陶は大きい。2代目であるが、イタリアとペルーとタイの中堅企業と家族ぐるみの付き合いをしていて、それが3代続いているという。特定の人と太く長く付き合う術を教えていただいたのだが、私には、どうも身についたように思えない。他にも、とても大切なものをいくつも教えていただいたのだが、私が強い関心を持ったのは、会長が年2回おこなっているという「断食」である。
もう80歳を超えているが、壮健で健啖家でもある。いわゆる酒豪の類だ。どうも、その状態を維持できている理由は、空腹の状態を継続する「断食」ではないのかと密かに思っている(もちろん、私は断食はやったことはない)。
そう思っている理由はある。私は、あるお寺の先祖供養の行事をお手伝いしている(お盆や彼岸の時期だけである。)が、その数日前から、肉や辛い食物は避けている。
それだけであるが、終わってしばらくは調子がいい。やっぱり、普段は飽食なんだなあと漠然と思う。「朝食べたばかりなのに、もう昼飯かあ。」と思うことがままある。でも腹はすいていないのに何となく食べたりする。
ある時突然思い立った。お寺では、人の体を仏に例える。五臓六腑というが、心臓には宝蔵如来、脾臓には大日如来などと名前をつけている。よし、この仏様たちに休んでもらおうと閃いた。「断食」などと構えると続かないので、お昼を3日ほど抜くと、当たり前だが、眠くならず、便通もよくなった。血圧がもともと高いので、降圧剤を少量のんでいる。少し健康に気を配っていて、朝のテレビ体操と軽いトレーニング、そして甘酒(自分で麹と米から作っている。)を飲んでいるが、日常の体調は良好といえるものではなかった。
ちょうど3日目に、電車のつり革広告の『「空腹」こそ最強のクスリ』という本のタイトルが目に飛び込んできた。著者は、青木厚というドクターだ。一気に読んで、膝を打った。
ポイントは2つあって
@本当に正しい食事法は、「何を食べるか。」ではなく「食べない時間を増やす。」
A1日16時間食べなければ、体に悪いごみのような細胞内物質が掃除され、細胞が再生される。
この考え方の背景には、大隈良典先生(東京工業大学栄誉教授 2016年ノ―ベル生理学・医学賞受賞)のオートファジー理論がある。オートファジーは、酵母や植物、動物など、すべての真核生物に備わっている細胞内の浄化・リサイクルシステムである。
このオートファジーシステムにより、細胞内の変性タンパク質や不良ミトコンドリア、さらには細胞内に侵入した病原性細菌などを分解して浄化することで、さまざまな病気から生体を守っている。また栄養状態が悪くなったとき、過剰なタンパク質を分解して、生存に必要なタンパク質にリサイクルする。青木厚ドクターによれば、16時間という飢餓状況の継続がオートファジー機能発動のきっかけとなるらしい。
青木厚ドクターは自らの理論の実践により、舌癌の改善、体脂肪(おなかぽっちゃり)の縮減の達成と、体が疲れにくくなるという効果が認められたという。確かに脂肪は飢餓状態で燃焼させられるし、眠気からは解放される。
そしてこの本のキャッチコピーには、
@血圧・血糖値・コレステロール値を正常に戻したい。
A薬を使わず、がん・認知症・糖尿病を予防改善したい
Bアレルギーや花粉症から楽になりたい
C慢性的な疲れやダルさを解消したい
D集中力をつけて仕事のパフォーマンスをあげたい
E肌荒れ、便秘、生理不順、PMSを改善したい
Fおいしく食べながらダイエットしたい
とあるので、だまされたと思ってやってみる価値はあると思っている。
私は、少なくとも慢性的な疲労と便秘からは解消された。それと、効果として大きいのは、食事代と食事時間が浮いたこと、それがうれしい。