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(発行日 2009年5月11日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

代表取締役・税理士  坂部 達夫

  

 江戸時代あたりの庶民の住居は、長屋に代表されるように大変簡素なものでした。布団と行李3つ位に収まるような家財だったと思います(興味がある方は両国にある江戸東京博物館でご覧ください)。ですから引っ越しも簡単。大八車でさっと出来たのでしょう。それに比べて、欧米の石の文化の影響で大物家具などがひしめく現在の日本の住居は、かなり固定的です。そんな理由で「引っ越し」そのものが重要な業務として市場の一角を占めるようになってきたのでしょう。
 
 なぜこんな話をしているかというと、坂部個人が連休中に転居したからです。ちなみに新住所は3年前と同じ住所です。なぜこうなったかは、機会があれば個別にお話しします。それはそれとして、引っ越しを繰り返した結果の感想ですが「使い勝手とシンプルさの両立」は住宅関連業界の本質的な課題ではないかと・・・。


今月のトピックス

雇用保険法改正 
その背景にある雇用情勢について

廣野社会保険労務士事務所所長  廣野 正通

1.はじめに 

 昨年末からの景気の低迷に伴い、連日のように新聞やテレビで雇用問題が取り上げられています。とりわけ、昨年10月から本年6月までに約19万2千人の非正規雇用者が職を失うという厚生労働省の発表に、大きなショックを受けた方も多いことでしょう。平成20年平均の完全失業者が約265万人とされるなか、さらにその7%強が新たに失業する計算になります。
 このような雇用情勢の悪化を受け、今年の3月31日に雇用保険法が改正されました。主な改正事項として、次の3点が挙げられます。
 まず雇用保険の適用範囲の拡大、2つめが再就職困難者に対する失業給付の拡充、3つめが雇用保険料率の引下げです。

2.雇用保険法改正にポイント(その背景と効果に関する考察)


 最初の「適用範囲拡大」とは、これまで雇用保険制度のセーフティネットが機能しなかった非正規雇用者を救済する目的の改正となります。従来は短時間労働者と派遣社員に対する雇用保険適用基準は「1年以上の雇用見込みがあること」でしたが、本改正により「6か月以上の雇用見込みがあること」に緩和され、離職後に失業手当を受給しやすくしたものです。
 この改正の背景として、近年、失業して生活保護の受給を申請するケースが増加していることが挙げられます。本来、公的扶助(生活保護)は最後のセーフティネットとして設計されています。失業した労働者は、まず雇用保険制度(失業手当)によって守られるべきで、直接に生活保護の対象とすることは想定されていません。要するに、現在の雇用情勢において、非正規雇用者が3人に1人を占める状態であること自体が雇用保険制度の想定外なのでしょう。
 
 それでは、今回の改正によって期待された効果が上がるか、と考えると、懐疑的にならざるを得ません。なぜなら、これまで企業が短時間労働者や派遣社員を雇用保険に加入させてこなかった最大の理由は、「1年以上の雇用見込みがない」からではなく、「会社の保険料負担が増える」からでしょう。こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、会社にとって被保険者を絞り込むことが、コストを下げて競争を勝ち残るための手段となっているケースは散見されます。


 2つめの「再就職困難者に対する失業給付の拡充」は、倒産、解雇や有期労働者の雇止めなどの理由で離職した若年層に対する失業給付日数を60日分延長するものです。例えば、雇い入れから5年未満で解雇された45歳未満の労働者が受給できる失業手当は、これまで90日分(約3か月)でしたが、改正後は60日増えて150日分(約5か月)となりました。社会問題化した非正規雇用者が主に45歳未満の若年者であることに配慮して、再就職までの期間中に収入(失業手当)が無くなってしまい、さらに常用労働に就くことが困難になる実状を打開する目的があります。

 この改正と背中合わせなのが、モラルハザードの問題です。就職する意欲がない者にとっては、如何に失業手当を多くもらうかが最大の関心事となるため、本来の求職者と区別する仕組みが曖昧であれば、財源が底をつくことにつながりかねません。


 3つめの「雇用保険料率の引下げ」は、20年度の[会社負担0.9%+被保険者負担0.6%=合計1.5%]から、21年度に限り[会社0.7%+被保険者0.4=1.1%]に低下させるものです。確かに保険料負担が減るのは助かりますが、1年間限定ですし、景気高揚策としては影響が小さすぎると思います。うがった見方をすれば、遅くとも今秋までに実施される衆議院議員選挙に向けたバラマキのようにも受け取れます。

 私が考えるに、保険料について最も効果的な方法は、雇用保険料の会社負担を無くすことです。今年引き下げられる0.4%をすべて会社負担軽減に使い、かつ、残りの会社負担(0.5%)を国庫が1年間補助する、という提案をさせていただきます。この案ならば、会社としては、積極的に被保険者を増やしたとしても、経費的に痛くも痒くもありません。所得税の源泉徴収と同様に、会社が単なる集金システムとなることで、雇用保険加入者は飛躍的に拡大するものと思われます。結果として、これまでセーフティネットが機能しなかった短時間労働者と派遣社員が失業手当を受給できるようになると予想します。


3.私見として

 以上見てきたように、雇用保険法改正の背景には、非正規雇用者の増加に伴い、我が国の雇用がこれまでに例がないほど不安定化してしまったことが挙げられます。一方、今回の改正はいわば対症療法であり、根本的な問題解決には結びついていないとも思われます。
 
 では、根本的な問題とはいったい何なのか?それは、既得権によって守られた身分である「正規雇用」と、不安定な「非正規雇用」という雇用形態が硬直化し、相互に交わらない点にあります。現状を打開するには、正規雇用者(正社員)が非正規雇用者(有期雇用者や派遣労働者)を自分たちの内側に取り込み、共存していくことが求められます。そのためには、人材の流動化が実現すること以外に方策が浮かびません。具体的には、終身雇用制度から脱却し、正社員の身分を失っても不利益なく再就職できる雇用環境の整備が不可欠だと思います。雇用形態に縛られず、仕事を自分の意志で選択できる自立した働き方(独立・開業を含めて)を支援する社会が実現することを願います。

 
私の部屋    「 無 趣 味 」

 この「私の部屋」というコーナーの順番がまわってくると、書くことがなくていつも困ります。このコーナーには、仕事とは少し離れた私的なことを書いたほうがふさわしいと思っていますが、これといって趣味のない私は書くことがほとんどありません。興味のあることが全くないわけではないのですが、行動力が伴わないのでいつもやらずに終っています。

 行動力といえば、誰かが「行動力=体力」というようなことを言っていました。最近体力の衰えを感じることが多く、妙に納得してしまいました。次に順番がまわってくる時までには何か始めてみようかと思いますが、多分やらないでしょう。

あとがき
事務所から歩いて10分ほどのところにある亀戸天神は、藤まつりが有名です。境内いっぱいに藤棚が作られており、先日の連休中はかなりの賑わいでしたが、私のお勧めは夜です。昼間とは対照的に静かで、期間中はライトアップもされいい雰囲気だと思います。来年是非どうぞ!
(編集者:小高・高田・坂本)

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