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(発行日 2010年1月8日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター
今月のトピックス
−平成22年 年頭所感− |
代表取締役・税理士 坂部 達夫
謹んで新年のお喜びを申し上げます。
さて、昨年は事務所開設20周年を迎え、各種イベントを開催し、その喜びを共にしたことは記憶に新しいところです。その一方で、深刻な世界同時不況と重なり、特に中小企業の市場には計り知れない景気の悪化をもたらしています。このまま行けば、失業率も10%を超え生活の困窮を伴う治安の悪化や社会保障制度の混迷に拍車をかける畏れも十分にあります。
とはいえ、このまま手をこまねいている訳にはいきません。自ら置かれた立場を十分に自覚し、できるところから実績を一つ一つ積み重ねていく必要があります。こんな時代には、少数の特殊な才能を持った人物の登場を期待するものですが、早稲田大学総長室参与の武田修三郎教授は「時代を正しく導いて来たのはイノベーションを導く人々であった。」としています(注1)。
「イノベーション」というと「革新や変革」という意味と捉え、つい「われわれの手が出ない新しい何か。」と考えてしまいがちですが、経営学者のドラッカー博士は、「イノベーションとは、古い信念や価値観、伝統社会の機関をくつがえすことではなく、これらを使って何か新しいものを生み出したり、あるいは信念や慣習を変え、新たなより良い方法によって従来の目標を達成するものである。」として、決して全く新しい何かを生み出すものではないと定義付けています。そしてこのことは、一握りの人々が時代を作り出していくのではなく、通常の生活を営む人々が生活習慣を変え、社会規範に意識を向け、好ましい目標に向かって進むことが「イノベーション」につながることを示唆しています。また、ドラッカー博士は、企業経営に関しても「個人の能力の高さ」は決して経営者としての必要条件ではなく、普通の人がその使命に向かって努力を傾注できる組織を組成することが経営者の重要な役割であると強調しています。
さて、今年の年頭にあたって我々が自覚すべきことは、「関わりのある人(注2)に対し、より良く生きる術」を共に考え、それを支援することにあります。
そのためには、経営、関連諸法規、税務、会計等の専門分野の知識・経験を、問題解決に寄与するレベルまで深める必要があります。特殊な能力を持たない我々が「イノベーション」を生みだすために必要なことは、対象をよく見つめて状況を把握し、その状況の先にあるものを予測する能力です。物事には必ず原因があって結果があります。
その現象の原因を洞察する能力が必要になり、原因が把握できれば自ずと結果が読めるようになる理屈です。しかし、畏れ・不安・欲・怒りなどで冷静な判断ができないというのが実情でしょう。でも諦めるわけではありません。過去の歴史の中で、大きな「イノベーション」を起こした人たちに共通しているものを探ると意外と簡単に答えが見つかります。それは、友達を思い、故里を慮り、国を憂える心情を持ち得ていたことで、その心境に「我」がなかったことにつきると思います。専門能力を活かす道筋は、同時に自身の「心の在り方」の追求であろうと思います。
そして、我々の姿勢を理解し、専門能力を求める皆様と一つでも多くのご縁を結んでいきたいと念願しています。そのことを胸に刻み、税理士法人 坂部綜合会計・潟Aサヒ・ビジネスセンターのスタッフは、一隅を照らす時代の「イノベーター」として精進してまいります。
今後ともご支援賜りますようお願い申し上げます
今年の話題として以下のものが考えられます。これらについては、その影響を注視し、状況把握と研究を怠らず業務に取り組んでいきます。
(1)平成22年度税制改正
平成22年度の税制改正の内容は、今後の税制の在り方を大きく転換する内容になっています。一人一人の納税者の立場で考え所得控除の在り方など所得税体系の見直しを図ると同時に納税者の権利の確立を目指しています。
相続税ではその課税体系の大幅な見直しと小規模宅地の軽減措置などがあります。これらの改正事項は、社会的に大きな影響が考えられますので、セミナーやホームページを通じて適宜な情報提供を予定しています。
(2)企業再生と事業承継
昨年12月に中小企業金融円滑化法が施行され、事業継続の猶予体制が整いつつあります。そこで、当事務所に蓄積された企業再建および企業再生のノウハウを提供していきます。
同時に、事業承継問題として自社株を中心とした相続設計の提案や後継者の育成を支援します。
(3)国際会計基準へのコンバージェンス(収斂)
企業会計基準委員会(ASBJ)では、2011年6月をめどに会計基準を世界標準に合わせることが計画されています。主には公開企業などの大会社が対象ですが、その子会社や関連会社も影響を避けられません。また、企業間取引にも影響が出ることが予測されます。
(注1)「フロニーモスたち −イノベーションを導く人−」武田修三郎,宣伝会議,2009.1
(注2)ここでいう人とは、企業に関わる及び一般的な生活者としての人を総括する概念です。
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私の部屋 「 どちらが先か・・・ 」
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以前はほとんど映画館で映画を観ることはなかったのですが、最近行く機会が多くなりました。
近頃はシネマコンプレックス、いわゆるシネコンと呼ばれる、一つの場所に複数のスクリーンがある映画館が増えているようです。また、パソコンや携帯電話から座席の予約が出来るので、以前よりも行きやすくなりました。
色んなジャンルの映画を観に行きますが、小説などが原作で映画化されたものについて、読んでから観るか、観てから読むかで悩むことがあります。
大概は原作を知ってから観るとがっかりすることが多いので、なるべくまっさらな状態で観に行くようにしていますが、悩ましいところです。 |
あとがき
大みそかから元日にかけての「ゆく年くる年」をご覧になったでしょうか。事務所から歩いて10分ほどのところにある、亀戸天神社が東京の中継ポイントになっていました。亀戸天神社は学問の神様として有名ですが、最近は、現在建設中の東京スカイツリーが見える神社としても知られているのだそうです。これからは梅がきれいに咲き揃う時期を迎えます。寒風の中健気に咲く梅の花と東京スカイツリー。なかなかいい取り合わせだと思いませんか。(坂本)
(編集者:小高・高田・坂本・佐藤・坂部啓)