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(発行日 2010年10月6日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 眼鏡が合わなくて2つ持つようになりました。いわゆる老眼です。もともとド近眼で眼鏡とのつきあいは長いのですが、「やはり面倒くさいというのと衰えてきたな。」という感じはあります。ところで、眼鏡を2つ持つようになって思うのは「視点」の違いで世の中の見方が全く変わるということです。


 仕事をしていて「これは如何かな。」と感じるのは、目の前に有る仕事は素早く正確にこなせるのに何か物足りない人、先のことばかり気になって現在の業務がおろそかになっている人の事です。経営者にとっては不安ですよね。しっかり、将来の完成図あるいは完成時の価値を見据えて、現在の仕事に取り組む人は信用できます。時間と空間の感覚そして因果を感じ取れるかどうかで仕事の成果は違ってきます。
やはり、遠近両用の眼鏡は必要でしょうね。

 

 

今月のトピックス

中小企業の会計に関する最近の動向
 ー 中小企業の会計に関する研究会 中間報告 ー

税理士  坂部 達夫

1.中小企業庁の思惑


経済のグローバル化の進展にともなって、各国で自国の会計基準を「国際財務報告基準(IFRS)」に順次適用させていく、あるいはIFRSそのものに合わせるという動きやそれに向けた議論が展開されています。わが国では、IFRSそのものに合わせるのではなく、順次適用させていく動き(コンバージェンス)が加速化しています。

 
ところで会計制度は、IFRSに対応せざるを得ない上場企業のみならず、非上場企業にとっても重要な経済制度です。ですが、非上場企業のほとんどを占める中小企業においては、その開示先に不特定多数の株主がいないことや経理担当者が不在など経理体制が十分ではないことなどの現状を会計制度に反映させる必要があります。中小企業庁は、中小企業に過度の負担をさせない、あるいは会計の自己内省機能(社長が自分の会社の業績評価に活用する機能)に着目した「中小企業独自の会計のあり方」に注目しており、今年2月から始まった「中小企業の会計に関する研究会」の中間報告{2010年9月(以下「中間報告」という)}にそれが色濃く反映されています。


2.中小企業の実態

中小企業の会計を検討するにあたり、中小企業の実態について中小企業庁が調査分析をしています。本当かな?と思う部分はありますがご紹介します。中小企業が該当する属性は以下のとおりです。

(1)資金調達・・・資本市場で資金調達を行うことはほとんどなく、金融機関からの借入が中心である。

(2)利害関係者・・・利害関係者の範囲は限られ、会計書類等の開示先は、主として取引先金融機関、主要取引先、株主、従業員、信用調査機関など限定的である。

(3)会計処理の方法・・・主として、取得原価に基づく会計処理や法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている。

(4)経理体制・・・経理担当者の人数が少なく、経営者や従業員の会計に関する知識が十分ではなく、高度な会計処理に対応できる能力や十分な経理体制を持ち合わせていない。

簡単に言えば、経理処理能力が低いのに無理して不特定多数の株主の会社の将来予測に応える必要はないのではないか、経理処理は従来からなじんでいる会計処理をきちんと行えば、中小企業の経営にプラスになるうえに利害関係者に迷惑をかけることはないということです。


3.中小企業に合わせた会計

それでは中小企業の属性に合わせた会計のあり方はどういうものなのか?まず、第一に考えるべきは、中小企業における会計処理の方法は、経営者自身が会計ルールのユーザーである点を考慮すべきであるということです。

 そして、この「中間報告」では、中小企業の会計処理は一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行であって、次のようなものが望ましいとしています。

@ 経営者が理解でき、自社の経営状況を適切に把握できる、「経営者に役立つ会計」

A 金融機関や取引先等の信用を獲得するために必要かつ十分な情報を提供する、「利害関係者と繋がる会計」

B 実務における会計慣行を最大限考慮し、税務との親和性を保つ、「実務に配慮した会計」

C 中小企業に過重な負担を課さない、中小企業の身の丈にあった、「実行可能な会計」


4.おわりに

中小企業に適した会計はどういうものかというテーマは、いろいろな思惑の中で議論されてきました。会計は「法律」ではなく商慣習の中から長い時間をかけた経験と研究の中で確立されてきたものです。

経済環境はダイナミックに動いており、経済取引は複雑化しています。それを表現する簿記・会計も当然変化しています。ただし、500年程前にイタリアで花開いた簿記会計ですが、これはあくまでそれを作成する側の問題でした。決算報告書はいわば自分の商売の通信簿であり、債権者や株主に対しての報告といっても、それは経営の主体としての経営者の責任を明らかにするものであって、経営者の説明責任のツールという位置づけです

そのように考えると、投資、とりわけ国際的な投資に対応できる会計(国際会計基準等)に中小企業の会計を合わせる必要性は低いと思います。世界的に共通化を迫られる会計に、「会計は一本だ(シングルスタンダード)」と硬直的に考えて無理繰り合わせる必要はない、中小企業庁はそのように考えています。まったくその通りで、その国の繁栄のための基盤の一翼を担うのが会計制度だと考えると、中小企業が無理なくその責任を果たせるような実効性の高い会計制度を構築すべきなのです。イギリスやアメリカはそのことに気がついて既に実行段階にはいっているのですから。

 

私の部屋    「 わが家のドラ息子! 」

 我が家には、2年前にもらわれてきたネコがいます。
名前は「きな」。いわゆるサバ猫と言われる薄茶色と白の縞模様の猫です。

捨て猫4匹の中から選んでもらってきました。自分で言うのも何ですがとっても可愛いんです。日中は多分昼寝三昧、夜はご近所を徘徊しているようです。ところが私たち飼い主が帰宅すると、ほとんど必ずお出迎えをするのです。「にゃおー」の一言と共にどこからともなく現れてすり寄ってきます。また、空のえさ箱の前ではじっと身動ぎもせずに私たちを見つめます。何と力強い目力でしょう。興味のある方は、お声を掛けてください。写メールをお見せいたします(○○なネコ親より)。

 

あとがき

話題のアニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」を見てきました。ある屋敷の床下に住む、身長10センチほどの小人たちの話で、彼らは生活に必要な品を人間から「借り」てきて生活しているのでした。角砂糖1個、ティッシュ1枚を借りてくるにも苦労する小人たち。たいがいのものは労せずとも手に入れることのできる昨今ですが、生きることに一生懸命な小人たちの姿が新鮮に感じられました。機会がありましたら是非ご覧になってみてください(坂本)  

(編集者:小高・高田・坂本・佐藤・坂部啓)

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