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(発行日 2011年1月13日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

 

今月のトピックス

−平成23年 年頭所感−

代表取締役・税理士  坂部 達夫

新年あけましておめでとうございます。今年も専門家の矜恃をもち、町医者的な親身な思いで業務を行って参ります。本年もよろしくお願いします。


1.統計資料から時代背景を考える


日本の総人口は2006年にピーク(約1億2,800万人)をつけて以後、毎年下がり続けています。国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」によると2050年には場合によっては1億人を割り込むことが予測されています。同様に15歳から64歳の人口(生産年齢人口)も2006年のピークの約8,600万人から約5,400万人に減少、なんと37%の人口減ということになります。

これは、未婚率の増加や大家族で子供を育てる環境が消滅しつつあることが背景にあると思われます。大家族主義の崩壊は自宅での死亡率の減少(1951年には82.5%あったものが2002年には13.4%となっています)からも明らかで、社会問題となっている孤独死とも深く関連しています。

さらに、リーマンショック以降のデフレスパイラル現象により、疲弊した産業界は新規雇用を絞り込む傾向にあり、新卒者をはじめとした若年層から就業の機会を奪う結果となっています。若い人たちは自らの能力を活かすことができない状況にあり、さらに将来に備えてじっくり能力や財産を蓄積しようという意欲が後退しているように感じます。



2.日本文化を日本以外から見ると

昨今、中国の台頭が著しいのですが、その国民性としてのモラルや思想など率直に受け入れることができないと思っておられる方も多いと思います。テレビでも、反日姿勢は強く感じることができます。ただ、中国に精通した人から話を聞くと、それは一部の人たちの問題で中国全体の総意ではないという意見も多くあります。

多くの中国人には日本の文化に対する憧れのようなものがあり、京都・奈良などの古都をはじめ東京を中心とした大都市のダイナミックな文化に多大な関心を寄せているようです。日本には武士道をはじめとした「恩を知り、恩に報いる心」、「善をなすこと」、「生かされている自然や先祖に感謝する」という思想と日常生活が不即不離となっている思いがあります。現状はどうあれ、世界から見ると暗に期待されていると思えてなりません。



3.税理士事務所業界

税理士事務所の業界を俯瞰しておきます。税理士事務所の主な顧客は中小零細企業ですが、リーマンショック以来、借入金返済も資金調達もままならないような状況におかれています。税理士事務所業界を取り巻く大きな問題の中に以下の二つがあります。
一つは、顧客層の縮小による収益減とともに職員を増員できないということがあります。それは、将来の業界をささえる人材不足につながる話でもあります。

もう一つは税制・会計制度・関連諸法規の複雑化によって仕事の内容が高度化しているということです。これは、一人の税理士が全ての税目や会計などをカバーすることが難しい。言い換えれば、税理士の意識の中で、「複雑でない法人の申告業務だけやろう。」という自己限定をするか、あるいは相続税等の専門分野に特化するという道を選択していくことになります。


4.われわれの目指す方向

夏目漱石の短いエッセイに「素人と黒人(くろうと)」というものがあります。その内容は、黒人は次第に局部にこだわるようになり専門的になって、全体を見失うことになってしまう。ところが偉い黒人になれば局部を明確にすると同時に輪郭も頭に入れているはずである、というのが漱石の言いたいことのようです。

これを、現状に引きなおしていうと、経済社会が細分化された業務、いわゆる専門分化されている状況を考えると、その道を極めるほど深い考察や経験を積む必要がある。さらに、それを依頼者(もっといえば必要としている者)の求めに応じ、パズルのごとく組み立てて全体像を見せる。いってみれば創造的でありながら専門性を有するのが「ほんとうの黒人」であって、われわれが目指す方向であります。


5.税理士事務所の成果

税理士事務所にとっての成果はなにか。それは決して売上や利益、顧客の数などではなく以下の二つだと思います。

一つは、会社や個人の求めに応じ、税務や会計の専門家の矜恃をもって、不安を払しょくし成長を促すよう支援することです。ドラッカー流に言えば、お客様に好ましい影響を与えることです。

もう一つは税理士事務所を構成するメンバーに対して、成長を支援し充実感を与えることにあります。総括すると、税理士事務所と有機的に関わる人間に対して、「思いやり」の心でよりよい方向へ行動せしめることが一番大きな成果であると考えています。

私の部屋    「 鬼 平 」

 人気時代劇「鬼平犯科帳」が、昨年9月から隔週でDVDマガジンとして発売されたので、試しに最初の1号を買って見たところ結構面白い。その後も発売されるのが楽しみになり8号まで揃ってしまいました。

この時代劇は池波正太郎が40数年前に原作を発表したもので、それをテレビドラマ化して、主人公の火付盗賊改・長谷川平蔵役は数人の役者が演じています。中でも歌舞伎役者の中村吉右衛門が主演したバージョンが最も長く、1989年から2001年と10年以上続き、原作を使い切ったところで終了しており、その後も毎年スペシャル版が放映されるという根強い人気があります。

しかし、役者が年を取ってくると最初のころの新鮮さがなくなって少し寂しい気持ちになります。そう思っているところに初期のころの映像をDVDで再現してくれたので、当時有名な俳優の若々しい新鮮な姿を見て懐かしい気持ちに浸っています。

 

あとがき

大みそかから元日にかけての「ゆく年くる年」をご覧になったでしょうか。事務所から歩いて10分ほどのところにある、亀戸天神社が東京の中継ポイントになっていました。亀戸天神社は学問の神様として有名ですが、最近は、現在建設中の東京スカイツリーが見える神社としても知られているのだそうです。これからは梅がきれいに咲き揃う時期を迎えます。寒風の中健気に咲く梅の花と東京スカイツリー。なかなかいい取り合わせだと思いませんか。(坂本)

(編集者:小高・高田・坂本・佐藤・坂部啓)

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