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(発行日 2013年10月4日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター
はじめに
代表取締役・税理士 坂部 達夫
明治時代からは沢山の偉人・傑物が輩出されました。その中で、私が個人的に大きな影響を受けたのは、合気道の創始者、植芝盛平翁です。といっても盛平翁が亡くなったのが昭和44年で私が13歳の時ですから、遭遇しているわけではありません。学生時代(明治大学)に薄暗い道場の片隅にかけられた肖像写真に向かって、稽古前、毎日のように挨拶(礼)をしていただけなのです。
大学の監督(小林康夫8段)から聞いた話では、156センチしかない小柄の体ながら、眼光鋭く、大男数人をあっという間に投げ飛ばしていたというのです。合気道は関節技を多用すると同時に、呼吸法を大事にします。確かに、高段者には、力ではない何か得体のしれないエネルギーを感じることがありました。
もちろん私には、合気道を語ることなどとてもできないのですが、盛平翁が残した「吾勝正勝」という言葉を紹介します。正しく勝つことは、自らに勝つことだ。この言葉は、いまでも自分と向き合わざるを得ない時に、道場の片隅にかけられた肖像とともに浮かび上がってきます。盛平翁は自らの心と向き合って、それを体現したのではないかと思うのです。興味のある方は、ウェブで調べて下さい。数々の奇跡を起こされています。
今月のトピックス
会話力を高めるために |
税理士 坂部 達夫
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1.コミュニケーション
仕事をするうえでも、また生活のさまざまな場面でも「コミュニケーション能力」は重要であり、お互いの意思を通わせて良好な関係を作り上げるために欠かせないものです。とはいえ、自分の意思を「言葉」で過不足なく伝えることは大変難しく、それは日常の経験の中で感じることでもあります。
ここで取り上げるのは、意思疎通(コミュニケーション)の潤滑油である「雑談」の話で、その大切さに迫ることができればと思っています。
2.雑談とは
雑談とは読んで字のごとく話の本論から外れた雑多な話です。つまり、中身のない、意味のない話ということです。ただし、明治大学の斉藤孝教授は「雑談」を次のように表現します。「雑談とは、その場にいる人たちが共有する“空気”を作り出すもの」であり、その意味において「中身のない意味のない話」も意味を持ちえるとしています。
仕事の現場で本論に入る前の雰囲気作りが上手な人がいます。「アイスブレーキング」と表現されますが、その場の緊張した、固まった雰囲気をふんわりと和ませる。もちろん、それは言葉だけではなく、表情(笑顔)や仕草の場合もあるのですが、その人の人柄や気持ちがその場の空気の中に溶けだしているのでしょう。
3.雑談のポイント
まず雑談に結論はいらないということです。そして、特にこだわることなく話を切り上げることも必要です。雑談を切り上げる言葉をキラーフレーズというそうですが、「それでは・・・。」といってスパッと切り上げることは重要です。
そして話し始め。まず挨拶から入りますが、その挨拶にプラスアルファがあるかないかが重要なポイントです。その場の空気をぐっとやわらげ、同質化するための「殺し文句」があると効果的です。
一番簡単なのは、相手をほめることです。ネクタイでもペンなどの小物でもいいじゃあないですか。実際、そういう小物にこだわりを持っている人も多い。そして、自分の軽い体験を話すのもいいでしょう。場合によっては、相手の関心を引き出すことができるかもしれません。
4.雑談と本論の関係
雑談は本論に入る前の場の空気を作るという意味で重要なものです。ではなぜ重要なのか。経営においても、生活の場においても、目的を達成するためには一定のステップが必要になります。
それは、@まず何をやるかを考える、A上手に伝える、B伝えたことがどこまでできるか というステップです。家庭ではこの辺が曖昧ですが、職場でリーダーシップを発揮するため、部下を説得するためには、相手を納得させる必要があります。それを実現させるのが、@〜Bまでのステップであり、その場の空気を作る雑談なのです。
5.共感力=人間力
とにかく、この人と話していると楽しいという雰囲気作りが必要です。なんとなくでも相手を受け入れる体制ができれば、「雑談」に意味を持たせることができます。その状況を作り出すことができれば、会議も人間的で温かく、様々な意見を引き出すことができるでしょう。
これは、相手に共感することから始まります。相手をまずいい人だと思い、尊重し関心を示す。この場合はまず自分をよく見せようとしないで、相手の懐に飛び込み自らをさらけ出すことが大事です。そして「今、あなたと話している時間を大事にしたい」と思ってもらえたら、商談成立に大きく近づくことでしょう。
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あとがき
遂に2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決定しましたね。最終投票結果発表の直前は、まるで合格発表を待つ受験生のようにドキドキが止まりませんでした。決定の瞬間、喜びを分かち合おうにも起きていたのは私1人。ひとしきり興奮しきったところで、また静かに床につきました。(小高)
(編集者:小高・高田・坂本・佐藤・坂部啓)