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(発行日 2014年1月9日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター
今月のトピックス
−平成26年 年頭所感− |
代表取締役・税理士 坂部 達夫
新年明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年も皆様方のご健勝とご発展を祈念いたします。
アベノミクス効果により為替・株式などの市場は好転しているようですが、足下の実体経済が底上げされつつあるかというとまだまだ不十分のように思えます。それゆえ中小企業あるいは生活者(個人)は、自らに求められている事柄について考え、それを達成するための地道な努力が求め続けられると思います。
1.年の瀬から元旦にかけて
我国には暮れから元旦にかけて気持ちを刷新できる大切な行事があります。一年間ともかくも生きてきて、最後の日になにがしかの感慨をもって、大晦日と向き合う。その感慨は良きも悪しきも包み込みます。喜びもありました。後悔も数多い。思い通りにならないのはよくわかっていますが、それらを飲み込んでなおかつ前に進んでいく覚悟をつくる必要があります。その行事が暮れから元旦にかけての行事です。お世話になった人にご挨拶状を考え、そばをすすり、テレビから流れる除夜の鐘の音を聞く。そして、一夜明けて、餅を家族で食べ、神社に初詣に出掛ける。正月に初雪でも降ろうものなら、人よりも先に新雪を踏んでいこうという改まった気持ちになります。
除夜の鐘で暗闇を打ち破り、元旦の初日の出で明るい未来に向かっていくという気持ちの刷新です。いまこれからの一年は、新雪のように真っ白で静寂の状況です。活気のある挑戦の年にするのか、ゆるぎない安定の年にするのか、静かに耐える年にするのか、それは我々一人一人の心の持ちようにあります。
2.スクラップ・アンド・ビルド
昨年の3月末で金融円滑化法(銀行債権の返済猶予の制度化)が期限切れをむかえ、その延長はなされませんでした。経営改善計画を策定することを条件に、返済猶予の延長が可能であることは施行期限終了後でも変わるものではありません。というのは、40兆を超える不良債権の焦げ付きが一時に顕在化したら銀行システムも国の財政もひとたまりもないからです。
ただ、常識的にわかるように、不良債権の改善には、中小企業を再生させるか、整理して市場を活性化していくしか方法がないのです。蚊帳の製造業者が蚊取り線香の開発により、廃業に追い込まれ、蚊取り線香の業者が電子蚊取り機の登場により業態変換を迫られました。企業は、まさしく「イノベーション」と「新陳代謝」を強いられる「環境適応業」といえます。個人は、生まれ持った生身の身体を持つ有機体ですから、自由主義経済社会下における憲法の定める宣明において保護されるべきものですが、それでも生活環境を整えるべく自らの自助努力が期待されるところです。
3.全ての人に起業家意識を
「商売」の話をしましょう。自社で持っている商品やサービスを求めている人に販売する。これが経営の基本中の基本になり、どんな人でも意識しなければならないものです。どんな人でもと言ったのは、私には事務所の経営をはじめた25年前から変らぬ、「ある思い」があります。社会人と称される人たちは、一人一人が「起業家」を目指すべきであるという思いです。これは、自らが出資者を募り、いずれは公開企業へと向かう「起業家」のことを言っている訳ではありません。公務員でも、サラリーマンでも、職人さんでも、一人一人が、「自分の稼ぎをマネジメント(予算を考え、資金繰りをつける。お金を集めて、お金を稼ぎ、お金を活用すること)する感覚を身につけるということです。与えられた仕事に対して与えられたお金をもらうのではなく、達成した仕事にみあう金銭をもらうという感覚です。そして、そのときに意識していただきたいのが「営業構造」です。営業構造とは、いわゆる営業力のような「売る力」ではありません。
いわば、鯛の「養殖の生け簀」のような、いつでも美味しい鯛が確保できる仕組み作りです。これは、普段から大事にすべき人たちの総和をいいます。当然、社会人は人や組織に必要とされるスキルを常に磨き続けているのでしょうから、それを理解してもらえる人や組織をどのように作り上げていくのか。つまり、あなたを応援してくれる人が何人いるのかということです。必要とされるアイデア・ノウハウ・サービス・技術があれば、あなたを応援する人たちは継続的に仕事を供給し続けてくれるのです。
個人であれ、事業者であれ、今年から気持ちもあらたに、「営業構造」の見直しを図る必要があります。昨日までできていなくても問題ありません。だいいち、マグドナルドの創始者、レイ・A・クロックが商売を始めたのは60歳を過ぎてからなのですよ。
4.再生・承継問題
人は知らない間に老いていきます。振り返ってみればあっという間。私の場合も、約七坪の事務所で仕事を待っていた時代から25年が過ぎました。中小企業の寿命は10年と言われています。これは経営基盤の脆弱な中小企業の経営努力が並大抵ではないということの裏返しです。
そんな苦労をして築きあげた会社も、後継者がいなければ存続不能に陥ります。人の集合体である会社の存続が危ぶまれれば、その企業に勤めている人の生活もおぼつかなくなる可能性があります。企業経営者の重要な責務の一つに後継問題を考えるというものがあります。これは、環境適応業である企業を常に変革「イノベーション」させるのと同程度に重要な仕事です。
5.おわりに
個人にしても企業経営にしても、時代の変化に応じて柔軟に対応していく発想と自助努力が必要になります。アベノミクス前の20年間(バブル後の20年間)という時代を生きざるを得なかった人々もいる一方で、これから活況に湧くかもしれない時代を生きる人々もいるわけです。
その時代環境を生き残る為には、環境が移り変わること、そして自分でできることの限界を自覚し、さらにそれを補う要素、とりわけ人の和を大事にすることが重要だと思います。
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あとがき
新年明けましておめでとうございます。皆様今年はどんな年にしたいとお考えですか?
私は誠実と成熟をキーワードに日々精進していこうと考えています。どんな環境に置かれても、言語一致、思慮分別のあるビジネスパーソンとして活躍できるよう努力するつもりです。1月は、やる気や活気に溢れる月。皆様の今年の抱負を、宜しければお聞かせください。(坂部啓)