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(発行日 2015年3月3日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 普段使い慣れている用語でも、その言葉が形成された経緯や意味するところが曖昧になっているものが少なくありません。税金の世界で言えば「所得」がその代表例です。もともとはインカム(income)という英語を和訳したものと言われています。

 インカムとは金融資産を運用した場合の運用収入をいいますが、「収入」から「経費」を引いた儲けをいう「所得」とは意味が異なっています。当初の使われ方が変化しているようです。また、辞書を引くと「身につけること」という意味もあります。有名なお経に「般若心経」があります。ここでは、「功徳を身につける」という意味で使われたりします。昔は「儲け」はお金だけではなかったようです。

 

 

 

今月のトピックス

小規模企業共済制度・中小企業倒産防止共済制度のご紹介


小高誠和・坂部啓太

 今回は、小規模企業共済制度と中小企業倒産防止共済制度についてご紹介します。いずれも、国(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営しており、上手に活用すれば、節税効果などのメリットが大きい制度です。以下、制度の概要と注意点についてご説明します。



1.小規模企業共済制度

 小規模企業共済制度とは、個人事業主が事業を廃止したときや、小規模企業の役員が退任した後の生活資金等を現役時代にあらかじめ積み立てておくための共済制度です。掛金月額は1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択でき、途中で増額・減額も可能です。この説明だけを聞くと「貯金と同じでは?」と思われるかもしれませんが、この制度の最大のメリットは、掛金が全額所得控除になることです。最大で年間84万円(7万円×12カ月)が所得控除となり、その節税効果は所得税・住民税合わせると最大で年間462,000円 になります。
積み立てていた共済金を受け取る場合には課税されますが、廃業時や退職時に受け取る共済金は、退職所得や公的年金等の雑所得扱いとなり、税制上の優遇を受けられるます。掛金の前納も可能のため、年末近くでの加入でも1年分の前納を行うことにより、その全額の掛金の所得控除を受けることが可能です。


注意点1:加入資格
この制度に加入出来る方は、常時使用する従業員の数が20人(商業・サービス業の場合は5人)以下の個人事業主とその共同経営者、会社の役員等です。


注意点2:解約手当金 
解約手当金の請求事由によって受け取れる金額は異なります。任意解約や機構解約(掛金を12カ月以上滞納した  場合)等は、掛金納付月数が240か月未満の場合、掛金合計額を下回ります。


注意点3:解約手当金の税制上の取扱
65歳未満の方が任意解約や機構解約で受け取った解約手当金は一時所得扱いとなり、退職所得扱いより課税額が増加します。


2.中小企業倒産防止共済制度

中小企業倒産防止共済制度とは、取引先の倒産等により売掛金債権等の回収が困難となった中小企業者が、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための共済制度で、掛金や回収困難となった売掛金債権等の金額に応じた金額の貸付を受けることができます。掛金月額は5,000円から20万円までの範囲内(5,000円単位)で自由に選択でき、掛金総額が800万円になるまで積み立てることができます。また、途中で増額・減額、一定の要件で掛け止めも可能です。
掛金は、個人事業者の場合は事業所得の必要経費、法人の場合は損金となり、掛金納付月数が40カ月以上ある場合は、任意解約でも掛金総額の100%を解約手当金として受け取ることができます。したがって、積立貯金に近い性質でありながら節税効果も有していることになります。さらに、掛金の前納も可能のため、事業年度終了直前に1年分の掛金の前納を行う事により、加入時に1年分の掛金額を必要経費又は損金とすることが可能です。


注意点1:加入資格
業種に応じて資本金が一定金額(5,000万円〜3億円)以下、従業員数が一定人数以下(50人〜900人)である中小企業者が対象となります。


注意点2:貸付金額
共済金の貸付金額は、取引先事業者の倒産で回収困難となった売掛金債権等と掛金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額の範囲内となります。例えば、掛金総額100万円で、売掛金債権等1,500万円の焦げ付きが発生した場合、掛金総額100万円の10倍にあたる1,000万円の貸付けを受けることができます。


注意点3:解約手当金
12か月以上掛金を納付していれば、掛金総額の80%以上の解約手当を受け取ることができ、40カ月以上で返戻率は100%となります。


注意点4:解約手当金の税制上の取扱
解約手当金は、支給を受けた時点での益金(法人)、または事業所得の雑収入(個人事業)に算入します。そのため、事業で損失が出た時、または役員の退職金支給時がお勧めです。


両制度とも弊所で取り扱っております。ご不明な点などございましたら、監査担当者までお問い合わせください。

私の部屋    「 日本酒のアカデミックな世界  」

 来る4月10日、弊社主催で利き酒会を行います。その講師・薄井一樹さんについてご紹介します。薄井家は栃木県さくら市の蔵元で、江戸時代後期の文化三年(1806年)の創業、「仙禽」という銘柄の日本酒を代々製造しています。一樹さんは現在34歳で11代目になります。
仙禽(せんきん)とは仙人に仕える鳥「鶴」を表し、この蔵の名前として代々受け継がれてきました。銘柄は代々受け継いでいますが、中身は大きく変わっています。一樹さんはソムリエの資格を持ち、ワインの仕事をしていた経験から、実家に戻った2003年、当時流行っていた「淡麗辛口」の日本酒を変えようと決心しました。万人受けではなく、好きな人の心を捉える酒を造ろうと、米を山田錦から「亀ノ尾」に変え、「木桶仕込み」「生もと造り」という伝統的な製法を試みて、2011年の鑑評会で金賞を受賞し、今でも日本酒業界に大きな反響を呼んでいます。
味覚を競うテレビ番組にも出演しており、驚異的な味覚の持ち主です。数年前から一樹さんと話をしたり食事をする機会があり、印象として、日本酒蔵元というイメージではなく、やんちゃなアーティストって感じです。

 

あとがき
東日本大震災よりまもなく4年が過ぎようとしている中、被災地では復興が進みつつも、まだまだ多くの方々が不安な生活を強いられています。これから先も長い道のりですが、着実に一歩ずつ前進していることを願い、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。(小高)

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