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(発行日 2016年11月8日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 次回開催する弊所セミナーでは、民事信託の一形態である「家族信託」を取り上げます。もともと、「信託」という仕組みは中世ヨーロッパの十字軍から発達してきたと言われています。戦士が、信頼のおける友人に、大事な家族と財産を託して戦地に赴く。この戦士が「委託者」です。そして、信頼のおける友人が「受託者」、残された家族が「受益者」となります。本来は、委託者と受益者との間で財産の受け渡しや管理を行えばよいのですが、ここに誠意ある財産管理者である受託者をかませると、悩ましい問題が解決できる(時間と空間の制約を排した)スキームが出来上がります。

今月のトピックスのテーマ「家族信託」がそうで、遺言や成年後見でカバーできない部分を補うことができます。セミナーは12月7日(水)18時からで、執筆者の宮田先生をお招きしご講演いただきます。ご興味のある方は以下のページをご覧ください。
http://www.abcnetwk.co.jp/seminar/seminar281207.html

 

 

今月のトピックス

「家族信託」を活用した争族・認知症対策

 司法書士 宮田 浩志


1.誰でも活用できる画期的な財産管理手法


2007年9月30日の改正信託法の施行により使いやすくなり、家族が主体となって財産を管理できる「家族信託」という仕組みが、高齢者・障がい者の財産管理や円満・円滑な資産承継に大変有効な手段となり得るとして、近年大いに注目を集めています。
「信託」とは、一言で言うと“財産管理の一手法”であり、親が保有する財産を家族が主体となって管理・承継する仕組み、いわば“家族による家族のための財産管理と資産承継の手法”を「家族信託」と言います。
不動産や現金等の資産を持つ父親(=委託者)が息子と契約を交わし、特定の目的(判断能力低下後の財産管理、自宅の処分、アパートの建替えなど)達成のために、その財産の管理処分権限を託し、受託者たる息子が、父親(=受益者)のためにその資産を管理するというのが最も典型的な例と言えます。


2.成年後見制度との違い


信託と同様に「本人に代わって財産管理をする仕組み」に成年後見制度があります。これは、判断能力が衰えた高齢者・障がい者本人に代わって財産管理や身上監護をする制度ですが、家族信託と成年後見制度とは、大まかに次の二点において異なります。

一点目は、活用期間の違いです。成年後見制度は、本人の判断能力低下時から死亡までの期間に限定されます。家族信託は、本人が元気な時から利用を開始し、本人の判断能力喪失後も、さらには本人亡き後も継続して財産管理と資産承継を託すことができます。
二点目は、監督機能と業務権限の違いです。成年後見人は、年1回以上家庭裁判所または監督人に定期的な報告義務があり、また、本人にとって必要性・合理性のある支出や財産の処分しかできないという制約があります。
一方の家族信託は、家族間の信頼に基づく仕組みなので、受託者を監督する公的機関もなく、財産管理に関する負担も軽減できます。また、受託者には幅広い権限を持たすことも可能で、 本人の希望だけではなく、家族や一族にとっての最適な財産管理を目指すことが可能です。


3.家族信託を活用するメリット


家族信託の特質を上手に活用することで、多くのメリットを得ることができます。ここでは、代表的なメリットを2つご紹介いたします。
まず一つ目は、遺言の機能を活用した争族対策です。
信託契約の中で託した財産(=信託財産)については、委託者本人の死亡後の資産の承継先を指定できますので、信託財産については別途遺言書を作成する必要がありません。さらに、通常の遺言では指定できない、2次相続以降の資産承継先まで指定(例えば、父親が亡くなったら母親、母親が亡くなったら二男というような指定)ができるので、本人が元気なうちから本人が希望する資産の承継について家族内で認識を共有しつつ、家族信託を上手に活用して、円満かつ確実な資産承継を実現することができます。
二つ目は、認知症等で判断能力が低下しても、本人資産が凍結されずに柔軟な財産の管理・処分が遂行できる点です。成年後見制度との比較の部分で説明しましたが、負担と制約の少ない家族信託を活用すれば、相続税対策を含む柔軟な財産管理や積極的な資産活用も可能となります。

典型的な例としては、不動産を中心とした保有資産の組換え(不動産を換価処分したり、余剰資金を活用して賃貸物件を購入したり、アパートを建設したり、高収益の不動産に買い替えたり)が、本人の判断能力低下後も特段の制約を受けることなく自由にできることです。
このように家族信託は、生前の財産管理における局面で、本人の体調如何に影響を受けずに本人及び家族の“要望”を形にすることができることに加え、将来の相続発生後の資産承継の局面で、本人及び家族の想いどおりに道筋をつけることができるという可能性を秘めています。
家族信託の活用は、老親の財産管理や資産承継にとって、大変有効な手法となりますので、是非ご家族を交えて検討頂きたいです。
 

私の部屋    「 楽しいお酒 」

 少し前に大学時代の友人と久しぶりに飲みに行ってきました。友人は福島県に住んでいて、いつもぶらりと東京へやってきては連絡をくれるのですが、その連絡はいつも当日の夕方近く。突然だなあと思いながらも慌てて出かけます。  
そんな彼はグルメでお酒が大好きなので、前もってグルメ雑誌で調べたお店や、待ち合わせ時間までの散策で見つけた雰囲気のある美味しそうなお店に連れていってくれます。普段、お店の探索もしない、お酒もサワー系を少しといった私ですが、その日ばかりは便乗して美味しいものに舌鼓を打たせてもらっています。正直、酒豪相手のお酒はちょっと大変ではありますが。
そんな気まぐれな友人ですが、次はいつどこに連れていってくれるのか楽しみです。

 

あとがき
 先日、久しぶりにゴルフに行ってきました。あいにくのお天気だったのですが、楽しく回ることが出来ました。やはり外で体を動かすのは気持ちのいいものですね。これから寒くなる前に、スポーツの秋を楽しみたいと思います。(小高) 

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