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(発行日 2017年3月3日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター
はじめに
代表取締役・税理士 坂部 達夫
弊所では年に数回のセミナーを開催しています。昨年は、税制改正や家族信託のセミナーを行いました。これは弊所に縁のある皆様に対するサービスとして、20年来、実施してきているものです。開業から数年たち、インターネットが普及し始めたころ、弊所のことをもっと知ってもらおうという思いから、やりたいことは沢山ありました。その中から絞ったのは、「ホームページの作成」、「メールマガジンの発信」、「セミナー開催」の3つでした。当時これらを3年計画で進めましたが、セミナー開催はその最終年から実施しています。
今年の初回セミナーは4月20日(木)です。トピックスを執筆していただいた、栃木県の酒造酒蔵 仙禽(せんきん)の蔵元 薄井一樹氏に、日本酒の深い味わいについて語っていただきます。その後は、異業種交流会を兼ねた懇親会です。
中小企業経営の芯柱は、その経営に携わる人の「他者に貢献することによる自分の価値の確認感」です。日本酒とともに人とのめぐりあいを是非楽しんでいただきたいと存じます。
今月のトピックス
日本酒 古くて新しいものづくり |
仙禽 蔵元 薄井 一樹
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1.はじめに
日本酒の歴史は、およそ2,000年と言われています。その歴史の中で、原料である「米」の品種改良や国策と共に成長・発展を遂げてきました。私たちは日本酒の表面的な嗜好やブームに流されることなく、歴史の中に見る伝統文化としての価値を知り、本質を知ることが大切であると考えます。
2.日本酒の歴史
稲作が伝来したことにより、米による酒造りが始まりました。「口噛みノ酒」という唾液中のデンプン分解酵素であるアミラーゼ、ジアスターゼを利用し、米のデンプンを糖化、空気中の野生酵母にて発酵させるという原始的な醸造方法です。その後、奈良時代には「麹」による酒造りが一般化し、平安時代には、さらに現代的な日本酒造りに近づいていきます。鎌倉時代には商業としての造り酒屋が登場し、室町時代には現代の日本酒造りの基盤が完成、江戸時代には日本酒産業としての発展と共に、酒造業が幕府の大きな財源となりました。
明治時代に入っても酒税は重要財源になっており、国の租税収入における酒税収入割合は、現在は3%弱ですが、明治35年度にはおよそ3割強を占めていました。また、明治時代には西洋の微生物学が導入され、日本酒にも科学のメスが入り、政府も品質向上、品質安定を後押ししています。明治37年(1904年)、大蔵省の管轄下に「国立醸造試験所」(現在の独立行政法人酒類総合研究所)が設立され、常に安定した酒造りが行われるようになりました。昭和に入ると、さらに技術革新が進み、特に竪型精米機の発明は「吟醸酒」誕生の大きなきっかけとなりました。
3.「三倍増醸酒」の出現
順風に発展してきた日本酒業界にも第二次世界大戦の影響は多大であり、終戦後深刻化した米不足、日本酒不足を補うため、戦時中から認められていたアルコールの添加による清酒の増量に加え、水で希釈し味が薄まった分、糖類や酸味料、グルタミン酸ソーダなどを添加し三倍に量を増やす「三倍増醸酒」が一般化しました。戦後物資不足の時代に生まれた日本酒における「負の遺産」と言えますが、物資に恵まれた現代でも「三倍増醸酒」(現在は二倍までが規定量)を量産し続けているのが日本酒業界です。
これは、ビール、ワイン、ウイスキーなど外国から様々な酒類が輸入され、日本酒の消費量が昭和47年をピークに減少の一途をたどり、特に業界大手の活力が衰えたことに起因すると思われます。
4.日本酒酵母に頼る酒造り
一方で、日本酒酵母の研究開発が進んだことにより、日本酒に様々な香りをもたらす事に成功しました。かつての米臭さや糠臭さとは程遠い、果実のようなフレーバーをもたらし、新しいターゲットや飲み手の獲得に成功しています。しかしながら、この日本酒酵母に頼った酒造りは、品質こそ高いものの、似たり寄ったりの製品が出来易い点が懸念すべきところです。共通のレシピを用いれば他社製品の模倣品を造ることも容易になります。
5.仙禽の酒造り
「三倍増醸酒」は論外ですが、私どもは、日本酒酵母に頼りきった醸造方法にも疑問を抱き、このような酒造りは「ものづくり」として寂しい気がしてなりません。そこで、3年前から取り組んでいるのが江戸時代の酒造りです。これは、日本酒酵母を添加せず、蔵の中に住み着いている「蔵付き酵母」が発酵の手助けを行う方法で、実に手間暇がかかります。また、単純に原料に「米」「水」「麹」しか使用せず、自然の力に任せるため、味わいに安定感がなく、製造時間がやたらと長くなります。
しかし、この古代から続く技法は「ものづくり」の醍醐味であると考えています。自然の力に身を任せた古い技法は、現代的にアップデートしながら100年先にも残しておかなければなりません。古くて新しいものづくりこそ、日本酒の未来を担っていると確信しています。
<参考>
日本酒の基 (日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)
酒のしおり (国税庁課税部酒税課)
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私の部屋 「 『名作』と『第1位』 」
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普段は時代小説ばかり読んでいる私ですが、たまには違うジャンルのものを読んでみようと思い、海外小説のコーナーで、「SFの名作」という帯の言葉につられて「1984年」という小説を買いました。さらに同時期に「人気第1位」という言葉につられ、「悲しみのイレーヌ」という小説も買っています。どちらも最後まで読みましたが、そのテーマもストーリー展開も私には重過ぎました。
私の個人的な感想はこの通りですが、世間一般では評判は良いようです。私と同様に「名作」と「第1位」につられてみてはいかがでしょうか。
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あとがき
街路樹の木蓮のつぼみが少しふっくらしてきました。
ただ今、確定申告の繁忙期真っ最中です。毎日バタバタと過ごしていますが春はもうすぐそこですね。15日が終わる頃には真っ白な花が咲いているでしょうか。そんな事を楽しみにしながらこの時期を乗り切りたいものです。(梅)