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(発行日 2016年9月8日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 弊所の顧問先で京懐石料理を楽しめるお店があります。千葉県市川市にありましたが、京都府中京区に移転し、来月22日「釜座(かまんざ)長島」というお店を開きます。京町家をリニューアルし、とても趣のあるお店に仕上がったそうです。お付き合いは、私が社長からマンツーマンで京料理を習ったことから始まりました。これも何か不思議な縁を感じます。社長は京都での人脈も素晴らしいものがあります。少し宣伝気味になりましたが、京都にお越しの折には坂部にご連絡下さい。社長の人脈も含め諸々ご紹介できると思います。

 

 

今月のトピックス

医療法人の持分の放棄があった場合の課税の特例

遠藤 剛彦


平成29年度税制改正において、医療法人の持分の放棄があった場合の贈与税の課税の特例が創設されました。

1.特例の概要

「持分あり医療法人」※1が「持分なし医療法人」※2に移行するにあたり、出資持分を有する個人が、その出資持分の全部又は一部を放棄する場合、その医療法人が厚生労働大臣に移行計画の認定を受けている「認定医療法人」であれば、その認定医療法人が持分放棄に伴って経済的利益を受けた場合であっても、贈与税は課されないこととされました。

※1「持分あり医療法人」…社員(出資持分所有者)の退社時や法人解散時において、出資持分に応じた出資払戻請求権や残余財産分配請求権が認められている医療法人であり、出資持分に応じた金額である限り、出資払戻請求額や残余財産分配請求額に限度額が設定されていない医療法人(現在は設立不可)

※2「持分なし医療法人」…退社時や解散時における出資払戻請求額や残余財産分配請求額について、払込出資額を限度とすることが定められている医療法人


2.改正前の課税に関する概要

相続税法第66条第4項において、持分のない法人に財産の贈与等があった時に、相続税や贈与税等が不当に減少すると認められる場合には、当該法人を個人とみなしてこれに贈与税を課すと定められています。このため「持分なし医療法人」への移行にあたり、社員がその持分を放棄した場合、法人に対して多額の贈与税負担が生じるリスクがありました。そしてこれを避けるためには、理事や監事等の役員数や役員の親族要件などいくつもの厳しい要件を満たさなければならない状況でした。


3.改正の背景

現在全国に約5万件の医療法人が存在しますが、その約8割が「持分あり医療法人」です。そして医療法人は持分の有無にかかわらず、利益配当が認められていないため、結果として内部留保が高額になる傾向があります。さらに「持分あり医療法人」の出資払戻請求額や残余財産分配請求額は、原則としてその法人の内部留保に応じた金額となるため、内部留保が高額となっている「持分あり医療法人」の出資持分は、その経済的価値が高いとみなされます。そのような状況で社員の退社に伴う出資払戻請求権の行使があった場合には、医療法人の経営自体が困難になってしまい、地域医療の安定供給が損なわれてしまう可能性があること、社員の死亡により相続が発生した場合には、その出資持分の相続税評価額が高額となり、多額の相続税を負担しなければならない可能性もあることから、厚生労働省は「持分なし医療法人」への移行を勧めてきました。
しかし上記2の相続税法の規定により、「持分なし医療法人」への移行時に持分を放棄することによって、贈与税負担のリスクがあることを懸念し、移行を躊躇する法人が一定数存在することから、このリスクを解消することを目的としてこの特例が創設されました。


4.適用時期

平成29年10月1日以後の出資持分放棄から適用が可能ですが、認定医療法人となるための認定期間は、平成32年9月までとされています。


5.留意点

(1)この特例の適用を受けるには、出資持分の放棄を受けた認定医療法人が、一定の書類を添付したうえで、贈与税の申告書を提出する必要があります。
(2)この特例適用後、厚生労働大臣の認定が取り消された場合は、認定が取り消された日の翌日から2か月以内に、贈与税の修正申告書を提出し、この修正申告に基づく贈与税額を納付しなければなりません。またこの場合の贈与税額はその医療法人の、法人税の課税所得計算上において損金の額に算入できません。
(3)この特例は相続税法第66条第4項の適用により、医療法人に対して多額の贈与税が課されるケースに対して有効な特例です。医療法人に対して贈与税が課されないことが明らかである場合には、意味が無いばかりかデメリットとなることも考えられますので、適用については慎重な検討を要します。

私の部屋    「 北斎 」

 世界的な画家の葛飾北斎にゆかりがあることから、両国の江戸東京博物館前から錦糸町に伸びる通りを「北斎通り」と名付けられています。約1Kmの間、電柱がなく、両側の街路灯などに北斎作品が掲示されており、「北斎ギャラリー」とも呼ばれています。その通りの両国に近いところに「すみだ北斎美術館」が昨年の11月にオープンしました。公園のそばに建つメタリックで斬新なデザインの美術館です。ただ、この建設に対して、予算面から反対意見も多くあり、当初のスケジュールから大幅に遅れて何とか開館にこぎつけたという感じです。
開館して間もないころから、何回か中に入りました。エレベータで4階に移動すると、常設展と企画展があります。常設展では、等身大の北斎と娘のお栄の人形があり、当時をリアルに再現しています。企画展は、大体2ヶ月毎に内容を変えており、思った以上に内容が充実していることに驚きました。北斎の生涯、作品、世に与えた影響を知るには、良い美術館だと思います。

 

あとがき
 今月でいよいよ40代に突入です。20代の頃は、40代といえばダンディーな大人をイメージしていたのですが、いざなってみると「イメージと大分かけ離れている・・・」。まずは体形を元に戻したいと思います。(小高) 

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