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(発行日 2018年4月11日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 

 文章を書くにしても、言葉にするにしても、シンプルにまとめるのは難しいことです。シンプルにするためには、考えを整理しクリーンにする必要があります。樹木で例えるなら、枝葉が程よく選定され、バランスのとれた状態と言えるでしょう。そしてシンプルは、単純ということとは異なります。十分に考えが練られて、そのうえで伝えるべきことが相手に過不足なく伝わる状態になっていることをいいます。
 実際、セミナーなどで高く評価されるのは、多くの文言の中から、簡潔な言葉への置き換えがうまくいったときが多いようです。シンプルに物事を伝えるためには、①必要な文章を何度も読み込み、熟考していったん忘れてしまう、②そのうえで、再度熟読し整理する。 以上を実践することにより、少なくとも相手が混乱するような複雑な話にはなっていないことがわかります。



今月のトピックス


血糖自己測定技術の変遷

ノースカロライナ大学チャペルヒル校
      医工学専攻教授  早出 広司



 みなさんは「血糖自己測定」という用語をご存知でしょうか?糖尿病を患っていらっしゃる方ならよくご承知かと思います。糖尿病は世界的に大きな問題となっている慢性疾患の一つです。国際糖尿病連合の調査結果(http://www.diabetesatlas.org/)によると、世界の糖尿病患者数は2017年の時点で4億2500万人であり、今後も増え続けていくことが予想されています。

 糖尿病の治療においては、患者さんの血糖値、つまりブドウ糖の濃度を管理することが基本です。しかし、血糖値の高低は自分の感覚では把握できないため、これを的確かつ正確に測定する必要があります。自分でこの血糖値を計測することを「血糖自己測定」(Self Monitoring of Blood Glucose; SMBG)と呼びます。この測定に用いられている技術は酵素法とバイオエレクトロニクスを中心としたバイオセンサというバイオの技術が使われています。
 本項では、SMBG技術の変遷についてその概略を三回に分けて紹介させていただきます。第一回は血糖値を計測する現在の技術について、第二回はその原理とその発展型の人工すい臓について、第三回はこういった技術と課題の変遷とそれに伴うマーケットの動向について紹介いたします。

 患者さんが自分で直接血糖値を計測するという点において、SMBG技術はバイオの最新技術が一般の方に還元されている現場でもあります。現在、この技術は急速な発展を遂げ、その結果として性能競争だけでなく、価格競争をはじめとするコモデティ化が顕著となる一方、同技術を活用したセンシング技術とインスリンポンプを組み合わせた人工すい臓を実現するまでに至っています。
 最初に登場したSMBG機器では血液試料が50マイクロリットル、測定時間120秒、計測機器の価格は500ドル(当時は1ドル=360円の時代)でした。それがSMBGが普及した時点では血液試料は0.3マイクロリットル(1/166)、測定時間5秒(1/24)、価格はメータはほぼ無償、センサチップと呼ばれる電極は一枚の実勢販売価格は10セント以下にまで下がりました。
 通常のSMBG機器はランセットと呼ばれる大変に細い針をつかって穿刺器具、血液を付けて、そこで血液中のグルコースと酵素が反応するセンサチップ、そしてそのセンサチップを挿入して、血糖値を計測して表示するメータから構成されます。

まず、ランセットをつかって、指先、あるいは「代替部位」と呼ばれる上腕部や手の平など(痛いのではと想像される方もいらっしゃるかもしれませんが)痛みの少ない箇所からほんの一滴、0.5マイクロリットル程度の血液を採取します。これをセンサーチップの計測部分につけます。そうすると、おおよそ5秒後に血糖値がメータに表示されます。

 この自分の血液を採取して血糖値を計測する行為が血糖自己測定、SMBGです。糖尿病の患者さんはこれを一日に1回~4回程度行います。これとは別にアメリカにおいて革新的な技術が1999年に実用化されました。Continuous Glucose Monitoring (CGM) System、日本では「持続血糖測定器」と呼ばる計測技術・装置です。この計測方法はSMBGのセンサチップに採用されている原理と同様に酵素を用いるバイオセンサの技術が採用されています。
 ただし、計測の対象となっているのは、血液ではなく、「細胞間質液」(Interstitial Fluid; ISF)と呼ばれる皮下で血液中のグルコース濃度と密接な関係にある体液です。このISF中のグルコース濃度を皮下に挿入するセンサで連続的に計測する技術です。皮下へのセンサの挿入は特殊な機材を使うことでほとんど痛みを感じません(本当です!)。この技術のおかげで、これまで一日4回の測定では見落としていた高い血糖値になる時間帯、あるいは血糖値が極端に下がってしまっている低血糖状態を見逃さずに的確な血糖値管理が可能となりました。

 次回はこの血糖計測技術の原理、およびこれらの技術の集大成とも呼べる人工すい臓の技術について紹介いたします。

私の部屋    「懐かしいアルバイト 」
 学生時代に交通量調査のアルバイトをやりました。それも24時間!そのころにしてはかなりの高時給 1時間1,000円だったので、「1日座っていて24,000円も稼げるなんて、夢のようなアルバイトだ」と喜んでいました。
 しかし当日は、人気のない倉庫街のような所に連れていかれ、服装を間違えた私は寒さと眠気に必死に耐えながら、たまに通るトラックを数え続けました。当時はスマートフォンやタブレットなどはもちろんない時代です。ただただ時間が経つのを待つという事が、これ程までに苦痛だとは思いませんでした。「楽に稼げる仕事など無い!」と身に染みて感じたアルバイトでした。
あとがき
 最近、外国人観光客の方をよく見かけます。日本政府観光局の統計によると、2000年には年間約450万人だった訪日外国人が、2016年は約2,500万人と急増しています。商業面では恩恵を受ける企業がある一方で、過剰な混雑による日常生活との摩擦や治安面での不安はどうしても残ります。激増する訪日外国人の方を目のあたりにして、誘致一辺倒ではなく、それらの整備も喫緊の課題のように思いました。(坂部啓)

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