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(発行日 2019年9月4日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに


代表取締役・税理士  坂部 達夫

  アニメ制作会社「京都アニメーション」(本社・京都府宇治市)で起きた放火殺人事件を巡り、政府は同社への寄付金に対し特別な優遇措置を設けることを発表しました。

 寄付する企業に対しては、寄付額を全額経費(個人の寄付は、ふるさと納税の仕組みを活用する案があがっている。)にし、受け取る京都アニメーション側の税負担も軽減する方向で検討するそうです。もともと寄付金は、利益調整で使われてしまう危惧があるため経費にできる金額を制限しています。京都アニメーションによれば、8月2日までに同社が開設した専用口座に約2億5千万円の寄付が寄せられたそうです。ただしこの寄付は、同社に対する特別の措置による救済であると同時に、特定の一社に対するものであるため課税の公平を損なう危惧も孕んでいます。昔から税制は寄付に冷たいといわれています。今回の事件については、特定の被害者支援で終わらせるのではなく、寄付税制に関する議論に発展することを望んでいます。

 

今月のトピックス

ABC経営研究会の内容報告 ~株式会社せんきん見学~


小高 誠和
  

 様々な業種の経営事例や最新の経済事象の学習を通して、改めて経営者マインドを喚起し、経営の在り方を考え、さらには異業種交流会として経営の仲間を作っていただこうと「ABC経営研究会」を企画しました。第1回目は7月20日、栃木県さくら市にあります株式会社せんきんの酒蔵見学会を行いました。こちらは国内のみならず国外にも多くのファンを持つ日本酒ブランド「仙禽」を創り出した酒蔵です。当日は見学に加えて、11代目蔵元であり、株式会社せんきんの専務取締役でもある薄井一樹さんに貴重なお話を伺うことができましたので、簡単ではありますがその内容をご紹介します。


                         

 
1.「仙禽」の歴史
 東北自動車道の矢板ICを降りて車を走らせると、自然豊かな田園風景が広がってきます。「仙禽酒造」は江戸時代の文化3年(1806年)にこの地で創業された歴史ある酒蔵です。関東平野の真ん中に位置し、酒造りに適した自然環境のおかげで、かつては日本酒製造に盛り上がっていたこの地も、日本酒需要の落ち込みを受け、昭和47年をピークに年々酒蔵が減少していきました。「仙禽酒造」もこの例にもれず経営の危機を迎え、2008年に倒産することになります。しかし長年取引を続けていた取引先が手を差し伸べてくれて新たな会社「株式会社せんきん」を設立し、「仙禽」ブランドの確立と事業再生に取り組み始めます。

2.タブーへの挑戦
 「ブランディング、そして事業再生への足掛かりとなるのはいかに特徴のある日本酒を造れるかどうかだ。」と前述の薄井一樹さんは考えました。そして、かつてソムリエの仕事をしていた自らの知識と経験を活かし、日本酒に「酸」を取り入れ、ワインのように食事をしながら楽しめる甘酸っぱいお酒を造り出そうとしました。当時は淡麗辛口こそが日本酒であり「酸味のある日本酒をつくるのは下手くその証拠」といわれていた時代です。これは日本酒業界そのものへの挑戦であり、非常に難しい挑戦であったといえます。そんな無謀ともいわれた挑戦の結果、「仙禽」は女性や若者から高い評価を受けるようになり、それまでの概念を覆す新しいジャンルを切り開き、一気に人気銘柄へと駆け上がります。薄井一樹さん曰く「戦後間もない頃よりも生活が豊かになり、食文化の変化と共に人々の味覚も大きく変わりました。それなのに昔と同じお酒を造っていてはダメなのです。時代に合ったものづくりをしなければ生き残れないのです。」

3.マーケティング理論
 せんきんの日本酒が高い評価を受けるようになり、徐々に製造量を増やしていきます。しかし、人気があるからといって設備や人を一気に増やし増産することはしません。需要と供給のバランスを重視し、需要に対して80%の供給量に抑えます。「欲しいけど中々買えない」という一種の飢餓状態をつくりだすのです。これにはかつての教訓が活かされています。以前はどんどん製造量を増やし、必死に頼み込んで問屋に卸していました。しかしそれによって商品の多くが大手スーパーの店頭に並べられ、他社商品と代り映えしなければ売れ残り、そして安売りコーナーへと移動していきます。これでは商品価値が認められません。そこで流通を整理し、信頼できる日本酒専門店を中心に卸すようにしました。品薄状態が続けば「買いたい」という欲求が強くなり、こちらから頼み込むのではなく、逆に「売って欲しい」という声を頂くようになったそうです。せんきんには営業担当者もいなければ、広告宣伝費もかかりません。的確なマーケティングと「仙禽」というブランドの力により、その名前が海外にまで広がっていきます。

4.地元への貢献
 「ドメーヌ」という言葉があります。これは自ら葡萄畑を所有し、栽培・醸造・瓶詰を一貫して行うワイン生産者のことをいいます。せんきんも日本酒でドメーヌ化を進めてきました。地元である栃木県さくら市内で原料米の作付を行い、仕込み水にも同じ水脈を使用することによってよりよい調和をもたらしてくれるそうです。かつては遠方から原料米を買い付けていましたが、顔の見えない生産者からの購入に不安を感じていたことから、地元の農家の方と契約し、安定的に供給を受ける仕組みを構築しました。生産者ごとの米の性質を見定め、その年の出来具合などを話し合うことが出来るのが大きなメリットだそうです。


 お伺いした時には既に日本酒造りは一段落し、アメリカへの出荷に向けて大忙しの最中でした。にもかかわらず見学中は、スタッフの方々が手を止めて挨拶をしてくださり、とてもすがすがしい気持ちになりました。見学後は近くのお店で昼食をとり、その時に「仙禽」のお酒を美味しくいただきました。株式会社せんきんの皆様、ご協力頂き誠にありがとうございました。


私の部屋    「ウミガメ」

 先日、一部で話題になっているウミガメを見てきました。ウミガメと言っても「空飛ぶウミガメ」の愛称で呼ばれるANAの大型旅客機のことです。春から成田・ホノルル線で運行が始まったもので、ウミガメ模様の塗装が施されている愛くるしい機体です。成田空港に隣接する公園から実際に見ましたが、飛んでいる姿はまさに空を泳ぐウミガメそのもので、そこにいたみんなが歓声を上げていました。
 ハワイではウミガメは大変神聖な生き物とされ、それを見た者に幸福を運んでくると言われているそうです。何を隠そう、パスポートを持っていない私。ハワイには行けないけれど、この「空飛ぶウミガメ」のご利益がないかと思いつつ帰宅の途につきました。

 

あとがき
  事務所近くにある評判の中国料理屋さんに入ってみました。人気とあってお昼時はとても混んでいました。Aランチ1200円。主婦のお財布には少し値段が張りましたが美味しいものが頂けて大変満足しました。今度はスカイツリーの観光も兼ねて友人を誘って立ち寄ってみたいな...と思ってしまいました。(鈴木)

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