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(発行日 2020年10月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター
はじめに
代表取締役・税理士 坂部 達夫
10月になり、秋も深まってきて、朝晩は少し冷え込みを感じるようになりました。
ところで、皆さんご存じですか。蝉時雨がやみ、突然秋の虫の声に代わる一瞬があることを。今年は、9月5日でした。人により違うと思いますが、私はこの不思議な一日を夏から秋に入れ替わる物理的な日と感じています。大きな自然の流れの中で交代を余儀なくされる蝉と秋の虫。今、人間界では大騒ぎしていますが、ウイルスの世界でも当たり前のように世代交代がすすんだわけです。人間界も、そんな不思議な変化の時を迎えているのかもしれない、100年後には令和2年がどのように評価されるのか・・・個々人でも記録をとっておいた方がいいかも知れませんね。
今月のトピックス
非上場株式の生前贈与と譲渡 |
湊税理士事務所 代表税理士 湊 義和
中小企業の経営者にとって、自社の株式は主要な財産の一つですが、この移転方法は、とても複雑な仕組みとなっています。つい最近も、非上場株式の譲渡時の価額が争点となり、最高裁まで争った事件でも、2名の裁判官から、評価の仕組みが分かりにくいと指摘を受けたほどです。(この指摘を受けて、令和2年8月に通達の一部改正が行われました。)非上場株式を生前に移転させる方法としては、贈与による方法と譲渡による方法があります。株式の所有者は個人と法人の2種類が考えられますから、旧所有者と新所有者の組み合わせは4通りあり、これに贈与と譲渡の2通りの移転方法を合わせると、その組み合わせは8通りになります。通常、物の価値は一つですので、組み合わせが8通りあっても、それほど複雑にはならないのですが、非上場株式の場合、それぞれの移転方法別に、株式の評価ルールが異なっているので、裁判官が「わかりにくい!」と指摘するのもうなずけます。今回は、そのうち最も事例の多い個人間の非上場株式の移転についての注意点について解説したいと思います。
1.非上場株式の評価ルール
(1) 生前贈与
非上場株式の贈与時の評価は、財産評価基本通達の定めにより、贈与後の株主の支配力により定められています。株主の支配力は株主総会での議決権割合を基礎に判定し、受贈者が支配株主グループである場合には、会社の規模に応じた評価ルールにより株価が算定されます。一方、それ以外の株主は、少数株主となり、自分が保有している株式を金融資産の一つとみなして、配当収益に対する収益還元価額により株価が算定されます。
(2) 譲渡
株式の譲渡価額は、売手と買手の自由な価格交渉により合意した価格であれば問題ありませんが、親族間など自由な価格交渉が行われないことが一般的な場合には、価格が不当に高いあるいは低いとして、上記(1)の株価と実際の売買価格との差額が、「みなし贈与」として贈与税の課税が行われることになっています。つまり、個人間で株式を売買により移転させる場合には、(1)の評価額を基礎に売買価格を検討することになります。
2.低株価企業の株式を移転する場合の注意点
低株価企業の場合には、株価が低いため、贈与(暦年課税制度)により株式を移転しがちです。しかしながら、親子間など、推定相続人への贈与は、民法の「生計の資本としての贈与」があったものとして、通常「特別受益」に該当します。
民法上は、株式の評価は、贈与時点ではなく、相続時点で算定されるため、たとえば、先代経営者である父から後継者である子に贈与時点では低株価の株式を贈与し、事業承継後に、後継者の頑張りによって株価が急回復していた場合などに大きな問題になります。よって、贈与により株式を移転させる場合には、贈与契約書等で、「特別受益の持戻し免除」の意思表示をしておくことが大切です。
更に、相続開始前10年以内の特別受益に該当する贈与や贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って行われた生前贈与財産は遺留分侵害額請求の基礎となる財産となりますので、相続人間の争いが生じやすくなります。
一方、譲渡により移転させた場合には、特別受益には該当せず、遺留分の問題も発生しませんので、低株価の株式の場合、譲渡により移転させる方が安全といえます。
3.高株価企業の株式を移転する場合の注意点
高株価企業の場合、贈与、譲渡のいずれの方法でも、取得者側にとって大きな資金負担が生じます。よって、親族承継等で非上場株式を移転させるケース等では、事業承継税制による「贈与税の納税猶予」制度の検討を行う必要があります。この制度は、令和5年3月31日までに「特例承継計画」の確認申請を行う必要があり、また、後継者においては、役員就任から3年以上経過していることが必要など、早めの準備と、しっかりとした期日管理が重要となります。
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私の部屋 「 久々の食事会 」
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先日、久々に少人数での飲食をしてきました。お店ではなく、マンションの一室を借りてのホームパーティー形式でしたが、アルコール消毒はもちろん、飛沫感染対策として、テーブル中央には手作りの卓上飛沫防止シートを設置、そして、フェイスシールドを付けての会食でした。フェイスシールドは初めてでしたが、何と言っても、ご飯が非常に食べ難い。飛沫防止シートもあり、言葉少なめに食べれば良かった気もしますが、楽しく談笑しながら食べることに意味があるという中では、万全の対策だったのではないでしょうか。
コロナ禍で予期せぬ経験をすることが多くなりましたが、一日も早く戻るものは戻って、普通に飲食などを楽しめる環境になると良いなと思います。
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あとがき
散策していましたら、丸くてトゲトゲの楓の実がいっぱい落ちていました。種から育ててみようと思い2~3個拾ってきました。早速実から羽の付いた種を取り出しプランターに植えてみましたが、無事芽が出てくれるか心配です。来年の紅葉を楽しみに楓観察日記を付けることにしました。(高田)