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(発行日 2020年11月13日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫


 日本文化の象徴の一つに「風呂敷」があります。実は風呂敷の歴史は古く、奈良時代の東大寺正倉院で使用されていたことがわかっていますので、今から1,200年以上も前から「風呂敷」が存在していたということです(とても格調高い柄で、今でも様々なところで使用されています)。
 私の趣味の一つに「風呂敷」の収集があり、自宅のタンスの一角に収まっています。蚊取り線香の普及とともに消失した蚊帳業界と同様の道をたどってほしくないので、せっせと買い集めているのです(笑)。
 家屋の洋風化と相俟って畳の需要が無くなり、本来の使い方(着物を脱ぎ着するとき足元に敷く)が忘れ去られようとしています。使っているのは、お坊さんと、年配の大学教授、高級和菓子の包みくらいでしょうか。レジ袋が有料になったいま、文化でもあり、エコの代名詞にもなる「風呂敷」を見直しましょう。これは商売になるかもしれません(大風呂敷かもしれませんが(笑))。

 

今月のトピックス

特別寄与料と税務 

岡田 貴昭 


1.特別寄与料制度の概要

 特別寄与料制度とは、相続人以外の親族が、被相続人の看護や介護などをしたことによって、被相続人の財産の維持・増加に貢献をした場合、相続を契機として、その貢献に見合った金銭の請求をすることができる制度であり、2018年の民法改正により、創設されました。
 もともと民法には寄与分という規定があり、相続人が被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合、その寄与分を相続分に加えることができるというものです。
 しかし、寄与分は相続人が対象となりますので、例えば被相続人の息子の妻などの相続人以外の人が被相続人の療養看護に努め、被相続人の財産の維持に貢献した場合であっても、相続人でないことから寄与分を主張することができませんでした。このように療養看護を一切行わなかった相続人が遺産を取得できるのに対し、療養看護をした相続人以外の者が何ら遺産を取得できないのは不公平であるといった意見もあり、相続人以外の人の貢献を考慮するための方策として、特別寄与料制度が創設されました。


2.特別寄与者の要件

 特別寄与料を請求できる人を特別寄与者といいます。
 特別寄与料の請求が認められるためには、3つの要件を満たす必要があります。

(1)相続人以外の親族であること
 特別寄与者になる資格を有する人は被相続人の親族ですが、相続人、相続放棄者、欠格又は廃除により相続権を失った者は対象となりません。
 親族の範囲は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です。

(2)無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと
 原則として、療養看護等は無償であることとされます。
 無償性は、療養看護等の対価を既に受けたと評価することができるかどうかにより判断するものと解されていますので、お小遣いでごくわずかな金銭を受け取っていたなどの場合には、無償性があると評価される場合もあると考えられています。

(3)財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと
 療養看護等によって、財産が増加した又は維持されたことが必要です。
 例えば、要介護認定を受けている被相続人の介護について、介護サービスを利用する代わりに親族が介護すれば、出費を抑えることができるため、財産が維持されたと考えられます。


3.特別寄与料の請求

 特別寄与者は、相続の開始後、相続人に対して、寄与に応じた額の金銭として、特別寄与料を請求することができます。
 なお、相続人が負担する特別寄与料の負担割合は、法定相続分又は遺言によって指定した相続分(指定相続分)とされます。
 特別寄与料の額の支払については、特別寄与者と相続人との間の協議により決めることになります。
 協議が不調の場合又は協議をすることができない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることができますが、家庭裁判所に対する特別寄与料に関する処分の調停申し立ては期限が設けられており、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6ヵ月以内、又は相続開始の時から1年以内に行わなければなりません。


4.特別寄与料と相続税 

(1)特別寄与者
 特別寄与料は、被相続人から遺贈により特別寄与者が取得したものとみなして、相続税が課せられます。
 相続人ではない特別寄与者は、原則として相続税額の2割加算の適用対象となるため、相続税の納税額が増加します。
 また、特別寄与者が被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた財産があるときは、相続税の計算上、相続税の課税価格にその贈与を受けた財産を加算し、その贈与を受けた財産について納付した贈与税については、相続税から控除します。

(2)相続人
 特別寄与料を支払う相続人は、その相続人が相続又は遺贈により取得した財産から特別寄与料の額を債務として控除することができます。
 相続税の申告後に特別寄与料の額が確定して支払った場合、特別寄与料の額が確定したことを知った日の翌日から4ヵ月以内に更正の請求をすることで、相続税の還付を受けることができます。


私の部屋    「 シンプルイズベスト 」

 
 世間で高級食パンがブームと言われている中、私には第二次ホットサンドブームが到来しています。高級食パンを贅沢に・・・と言いたいところですが、スーパーで売っている普通の8枚切り食パンです。最初のブームは小学生の頃で、食べたいというより作りたいといった理由だった記憶があります。現在、第二次ホットサンドブームが訪れてから3ヶ月目、ほぼ毎朝食べているのですが飽きがくる気配はありません。あまり手間をかけていないことに加え、挟んでいるものがハムとチーズに黒コショウとシンプルな点が長く続いている理由なのかもしれません。
    

 

あとがき
 コロナ、コロナで騒いでいるうちに、年末調整の時期が近づいてきました。例年11月号は「年末調整Q&A」をお届けしていましたが、毎年やらなくても・・の一言で切り替えました。変更の多い今年はむしろ「年末調整」が必要だったかも・・(喜志)

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