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(発行日 2020年12月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫


 よく「人を見る目がない」「人物を見抜く慧眼」などと使われます。私は、「人を見る目」がある人種の筆頭に経営者が挙げられると考えています。なぜなら、多くの(人)事柄に裏切られた経験を持つからです。なぜ言い切れるかというと、私も会計事務所を主宰する経営者を30年やっているからです。その人物がどんなに素晴らしい経歴や、言動をしている人だとしても、信頼・リスペクトできるかというと、ちょっと違うと思っています。じゃあ、どうやって見抜くのかというと「見抜けません。」ただ、その素晴らしい言動の背景にある動機をとらまえるように努め、さらにその真意、願いや希望を見つめるようにします。そうすると、ぽあっと人物像が浮かび上がり、付き合える人かどうかわかるようになる。私の根拠のない経験則です。

 

今月のトピックス

事業承継と信託 

隼あすか法律事務所  弁護士 鈴木 康之 


1.事業承継目的での信託の活用-遺言との比較

 事業承継を考える会社オーナーが検討すべき典型的な法律問題は次の世代への相続であり、相続対策として一般的に思いつく手段は遺言の作成であると思います。
 遺言の作成とは異なってあまり知られていないものの、オーナーが保有している株式を対象として信託を設定することも事業承継のための有効な手段です。
 遺言の場合、その内容を実行するためには、先代オーナーについて相続が発生した際、検認や執行手続きを取る必要があるのに対し、信託であれば、そのような手続を省略でき、円滑な経営権の承継が期待できます。また、遺言の場合、後継者は承継した株式を処分することが可能であるため、会社株式の分散の可能性があるのに対し、信託の場合は、経営権の承継後も受託者が株式を継続保有するものと定め、後継者による会社株式の処分を防ぐことができます。


2.信託とは-財産の管理・処分の手法

 信託では、主な関係当事者として、財産の権利者(委託者)、信託目的に従って財産の管理・処分を行う義務を負う受託者、信託財産に係る給付を求めるなどの権利(受益権)を有する受益者が登場します。また、信託目的は財産の管理・処分にあたって従うべき指針となることから、信託行為の重要な内容です。
 例えば、離れて暮らす両親の生活費用の支払に充ててもらうために、信頼できる第三者に金銭を預けた場合、そのように金銭を預ける行為は法律的には信託とみることができます。この例では、金銭を提供する人物が委託者で、金銭を預かる第三者が受託者、離れて暮らす両親が受益者であり、信託目的は両親の日常生活の支援や向上などになるでしょう。
 信託は、本来は、受託者を通じて財産の管理・処分をするための行為ですが、次の世代への経営権の承継が予定されている会社などで、事業上の資産を対象として信託を設定すれば、対象資産の承継を円滑化する手段となります。


3.事業承継目的での信託のスキーム

 事業承継目的での信託は、土地・建物などの不動産や機械や在庫商品など、事業上の重要な資産を対象として設定することも考えられます。もっとも、事業承継目的の信託で一般的な手法は、オーナーが保有する対象会社の発行株式を対象とする株式信託です。
 事業承継目的での株式信託にも様々なアレンジがあり得ます。以下は、基本的なスキームの例です。

①会社オーナーが委託者兼受益者となり、自己の保有する株式を受託者に信託譲渡する。
②受託者は、会社オーナーの指図に従って対象株主についての議決権を行使し、その結果、会社オーナーは、信託設定後も自己の意向に沿って会社経営を継続することを期待できる。
③会社オーナーについて相続発生後は、後継者が受益権や議決権指図権を有する形で、株式信託が継続する。後継者は、受託者への指図を通じて自己の意向に沿った会社経営を継続でき、また、配当など会社からの利益を享受できる。


4.信託活用にあたっての留意点 

 事業承継目的での信託の効用を説明してきましたが、活用にあたって注意いただくべき事項も存在します。
 
(1)他の相続人の遺留分との関係  
 遺言による財産贈与が後継者にのみ有利な内容で、他の相続人に対してはほとんど財産を与えない内容であった場合、他の相続人は、自己の遺留分(※ 法律上確保された、相続財産に対する最低限の受取持分)を侵害されたとして、遺留分の減殺を請求することが可能です。
 信託であっても、他の相続人の遺留分を侵害することは出来ず、遺留分減殺請求の対象となります。  

(2)受託者の取扱い  
 信託銀行等を受託者とする商事信託であれば、一定の業務水準に従った財産の管理が期待できるのに対し、一般私人を受託者とする民事信託の場合、財産の管理は受託者となる個人の倫理観・信頼性に依拠せざるを得ません。そのため、弁護士や税理士などの専門家が、受託者に対する監督を補佐するための信託監督人として選任されることもあります。



私の部屋    「 近場の旅行 」

 
 今年の夏休みは、なるべく密を避けて楽しめる場所をと思い、地元千葉のキャンプ場へ行ってきました。コテージに宿泊したので暑さ対策・虫対策も万全で快適に過ごせましたし、子供たちも、野菜の収穫体験や水遊びで大はしゃぎでした。これまで旅行というと、長い時間をかけて混雑している観光地などに行きがちでしたが、近場でも楽しめるスポットはまだまだたくさんあるということに気付かされました。これからも地元の魅力ある場所をどんどん発見していきたいと思います。

 

あとがき
 繁忙のこの時期、仕事帰りに自分へのご褒美を買いにスカイツリーのソラマチへ出向くも、若者の待ち合わせの集まりがあちこちに・・コロナ慣れの声も聞かれるこの頃、そそくさと退散しました。(喜志)

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