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(発行日 2021年10月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫

 

 コロナ禍により、働き方が様変わりとなりました。時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化などが眼目の働き方改革が法案化されるという動き方はコロナ前からあったのですが( 2019年4月1日以降順次施行)、コロナ禍による雇用環境の激変が、副業解禁の流れから、ギグワーク、シェアリングエコノミ―などの、会社に雇用されない新しい業務形態の出現を後押ししました。ただし、この会社に依存しない働き方には、社会保障や福利厚生の欠如などのリスクが伴います。税制や社会保障などのセーフティーネットの構築などを急ぐ必要があると感じています。


今月のトピックス

メンタルヘルス対策(予防)

特定社会保険労務士  喜志 久美子

1.はじめに

 昨年から続くコロナ禍の影響で、仕事や生活に不安やストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。メンタルヘルスとは「こころの健康」という意味であり、メンタルヘルス対策とは、誰もが健康で働くために知っておくべき知識や情報です。労働者の健康を守ることは、会社の健康を守ることにも繋がります。まだ対策をされていない事業所様は、ぜひこの機会にご検討ください。

2.こころの病気

 こころの病気は誰でもかかる可能性があり、その多くは治療により回復していますが、無理をすると回復が遅れることがあります。また、本人が苦しんでいても周囲からはわかりにくいため、知らないうちに無理をさせたり、傷つけたり、病状を悪化させているかもしれません。正しく理解し対応することが、とても大切です。

3.セルフケア(本人によるケア)

 こころの病気の原因として、多くの場合に「過度のストレス」が挙げられます。ストレスがなくなることはありませんので、いかに上手にストレスと付き合っていけるかという知恵も必要になります。自分自身の心と身体の健康に注意を払うことが大切ですが、「ひどく疲れる」「よく眠れない」「ミスが多い」「コミュニケーションがうまくとれない」といったサインがあったら、そのままにせず、早めに相談することを意識してください。

4.ラインケア(職場の管理職によるケア)

 「表情がさえない」「服装が乱れてきた」「遅刻や休みが増えた」等、部下の様子の変化に気づいたら、まず「声かけ」をして「相談を受ける」機会を作りましょう。その際、本人からの話を「聴く」に徹することが大切です。話をさえぎったり、上司や先輩としての意見を押し付けたり、「頑張れ」などの励ましは、こころの病気にかかっている場合は逆効果になります。飲みに誘うのもよくありません。変化に気づくためにも日ごろから部下の様子をチェックしておくことも大切です。

5.長時間労働と睡眠

 長時間労働がメンタルヘルスに重大な影響を与えることは知られていますが、睡眠時間とメンタルヘルス不調にも密接な関係があり、1つの目安になっています。本人に話を聴く際に、「眠れているか」を確認し、眠れていない場合は数日の休暇の取得を勧め、それでも改善しない場合は産業医や医療機関への受診を勧めることも必要です。本人が受診を嫌がる場合は、「大丈夫であることを確認するための受診」と説明してみるといいと思います。

6.安全配慮義務

 労働契約法第5条に、使用者の労働者に対する安全配慮義務が定められており、メンタルヘルス対策も当然含まれると解釈されています。実際に、安全配慮義務を怠ったことによる不法行為責任や債務不履行を根拠に、使用者に多額の損害賠償を命じる判例が多数存在します。気づかなかった、どうしていいかわからなかったでは済まされません。できることから取り組んでみてください。

7.東京の相談先(原則無料)

①東京産業保健総合支援センター(さんぽセンター)
https://www.tokyos.johas.go.jp/mental/
 メンタルヘルス対策の導入について、メンタルヘルス対策促進員が職場を訪問し、具体的なアドバイスをしてくれます。また、「管理者教育」や「若年労働者教育」も行っています。《回数制限あり》

②地域産業保健センター(地さんぽ)
https://www.tokyos.johas.go.jp/region.html
 労働者50人未満の小規模事業場の事業者や労働者に対して、次の事業を提供しています。《回数制限あり》
(1)労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)に係る相談
(2)健康診断の結果についての医師からの意見聴取
(3)長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導
(4)個別訪問による産業保健指導の実施

8.最後に

 今回は、ごく一部だけお伝えさせて頂きました。実際にこころの病気にかかった場合は、さらに休職、復職、再発予防とメンタルヘルス対策は続きます。こころの病気での休職は長くなるケースも多いため、職場の他の方にその負担がかかり、ストレスの連鎖が起こる可能性もあります。原因が仕事ではないケースも多いのですが、メンタルヘルス対策をしっかり行い、不調者を出さない健康な職場を目指していただきたいと思います。

9.参考資料

厚生労働省「こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)」
https://kokoro.mhlw.go.jp/
厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/index.html
東京都労働相談情報センター「職場のメンタルヘルス」
https://www.kenkou-hataraku.metro.tokyo.lg.jp/mental/index_01.html
産業保健総合支援センター(全国相談窓口)紹介サイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/center/



私の部屋    「 大横川親水公園 通勤さんぽ 」

 8月に事務所が移転しましたので、通勤経路を模索しておりましたら、押上から錦糸町にかけて「大横川親水公園」が幹線道路を潜る形で繋がっていることを発見しました。利用してみると「桜の木」や「さるすべりの木」等、様々な木の間を歩く事が出来るので運動不足の解消と自然探索になっています。
 最近では、柿や栗が散歩道に落ちているのを見て、上空に目線を向けてみると大きな柿の木や栗の木もあることに気づきました。たまには、空を見上げる事も必要だと思いました。
 今後も目線を色々な所に向けながら、日々移り変わる公園の花々を通勤と共に楽しみたいと思います。


 

あとがき
 ここのところ、驚くほど素直に感染者数が減少している。もうリバウンドはこりごりだ。さすがに同じことを何度も繰り返すほど人は愚かではないと信じたい。対策をしっかりすれば、上手に楽しめる世の中であることをみんなで検証していこう。(喜志)

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