ABCネットニュースNETNEWS

(発行日 2022年4月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫


 某信用金庫勤務4年目の弊所の担当者A君が他の支店に転勤となるので、新しく担当となるB君を連れて挨拶に来てくれました。B君は大卒3年目を迎えるところで、内勤を経て初めて外回りに出るとの事。「ずいぶん大事に育てるんだねえ。」というと、B君曰く、「そうなんです。私の同期も外回りをするタイミングで辞める人が多く、20人入って今は半分の10人しか残っていないのですよ。」・・。
 また、私の所属する同業者団体の事務局には100人程所属しているのですが、某課長が「先生、この事務局には半分くらいしか残らないかもしれません。」「現在半分近くが病気で辞めたいと言っているのです。」などという物騒な話があります。勤務する組織・機関の組織風土などに問題があるのかもしれませんが、この若者の手に入れた仕事環境を放擲する潔さには、大きな地殻変動を感じます。さて、経営者や親などのマネジメントする立場の人間に何が求められているのか。 

 

今月のトピックス

◆空き家対策◆ 所有者不明土地の解消に向けた民法などの見直し 

日比谷T&Y法律事務所 弁護士 植松 勉  
https://uematsu-law.com


1.所有者不明土地の現状

 みなさまは、所有者の名前や居場所が分からない「所有者不明土地」の現状をご存知でしょうか。国交省の推計によると、所有者不明土地の面積は約410万ヘクタールに相当し、九州の土地面積368万ヘクタールを上回っているとのことです。

 所有者不明土地は、利用や管理が難しく、取引の妨げにもなります。このため、①今後所有者不明土地が新たに発生することを防ぎ②すでに発生している所有者不明土地については円滑な利用ができるように、民法などの見直しが行われました。

 本稿では、このうちの主なものについてご紹介します。

2.所有者不明土地の発生予防 ~相続登記の申請の義務化

 所有者不明土地が新たに発生することを予防するために、2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した人は、その取得を知った日から3年以内に、相続登記(相続人への所有権移転登記)の申請をすることが義務付けられます。
 これは、所有者不明土地が発生する主な原因は、土地の所有者が死亡しても相続登記がされないことにあるとの指摘に対応したものです。
 土地の売買の場合と異なり、土地の所有者が亡くなった場合には、登記がそのまま放置されるケースが目立ちます。相続登記を怠っていても、相続した土地を他人にもっていかれるリスクがほぼないことによります。
 しかし、これでは登記を見てもその土地の所有者が分からず、所有者を見つけることが難しくなります。
 このため、今回の見直しでは、不動産登記法という法律を改正して、相続登記の申請を義務化したのです。正当な理由がないのにその申請を怠ると、10万円以下の過料に処せられます。

3.所有者不明土地の発生予防 ~相続した土地を手放す制度

 2023年4月27日から、相続した土地を手放すことを可能にする制度が新たにスタートします。
 これは、過疎地域などにおける土地利用ニーズの低下により、土地を相続したものの手放したいと考える人が増加していることを考慮したものです。
 利用ニーズの低い土地が放置されて、将来所有者不明土地とならないように、新たに「相続土地国庫帰属法」という法律を制定して、土地を手放すための要件や手続をルール化しました。
 この新制度では、土地を取得した相続人が、法務大臣に対して、土地を国庫に帰属させることについての承認を申請します。承認されると、その相続人は、負担金(土地の性質に応じた標準的な管理費用の10年分)を納付して、土地を手放し国庫に帰属させます。
 手放すことを認めてもらえる土地は、管理にあたって過分の費用がかからない更地などとされており、すべての土地が対象とされるわけではありません。

4.所有者不明土地の円滑な利用 ~共有物について
 みなさまの中には、「土地や建物を共有しているけれど、共有者の中に名前や居場所の分からない人がいる」という方はいらっしゃらないでしょうか。
 このような不明共有者がいると、共有物の円滑な利用などが妨げられることがあります。そこで、今回の見直しでは、民法を改正して、次の(1)(2)のような仕組みを創りました。
 これらは、いずれも2023年4月1日からスタートします。

(1)共有物の変更・管理に関する新たな仕組み
 現行の民法のルールでは、共有物に「変更」を加えるには、共有者全員の同意が必要です。また、共有物の「管理」に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決めます。
 しかし、共有者の中に不明共有者がいると、こうした全員同意はできず、過半数での決定さえもできないことが起こり得ます。
 そこで、今回の見直しでは、裁判所の関与の下で、不明共有者を除いた残りの共有者の全員同意や過半数での決定により、共有物の変更や管理ができる仕組みを創りました。

(2)不明共有者との共有関係を解消する仕組み
 さらに、今回の見直しでは、不明共有者がいる共有物の利用などに関して生じる支障を抜本的に解決するために、不動産に限ってですが、不明共有者との共有関係を解消する仕組みを創りました。
 これによって、裁判所の関与の下で、①不明共有者の共有持分を他の共有者が取得したり、②不明共有者の持分を含めて共有不動産の所有権(全共有持分)を第三者に譲渡することができることになります。
 所有者不明土地に関係する悩みを抱えていらっしゃる方は、一度、専門家に相談されてはいかがでしょうか。


私の部屋    「 桜の季節 」

 
 4月といえば桜の季節です。私が通っていた小学校の前には約600mのソメイヨシノの桜並木があります。普段はあまりその道を通らないのですが、この時期になると桜を見たくて散歩に出かけます。夜には提灯によるライトアップもされているので、夜桜を見ながらの散歩も楽しめます。毎年4月上旬に桜まつりが開催されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になってしまいとても残念です。
 来年には新型コロナウイルス感染症が収束し、レジャーシートを広げて楽しくお花見ができるようになるといいなと思います。


 

あとがき
 コロナ禍でテレビが友達という生活になり、ドラマの多くを録画して観ている。先日終了したNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」もその一つだったが、虚無蔵さんの「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」は、自分自身に言い続けたい言葉として心に残っている。(喜志)


社長メニュー(ASP版) 毎月更新!お役立ちコーナー

戦略経営者システムQ&A 補助金・助成金情報

経営革新等支援機関

ページ
最上部
TOP
PAGE
Mail