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(発行日 2022年5月13日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫


 コロナ禍の中、特段の制限をかけることなく迎えたゴールデンウィークですが、まだまだ宿泊施設や飲食店などの傷跡は深く、簡単に復調というわけにはいかないと思います。商売(経営)を考えるときには、戦略と組織が重要と言われますが、戦略は狙うべき市場にどのような商品・サービスを投入するか、組織は人の働く環境をどのように作っていくかということです。平たく言うと、社会が欲するニーズに合った商品サービスを、誰がどのように作り、売っていくかに他なりません。コロナ禍で、国等も中小企業の支援を、補助金・助成金という形で具体化しており、前向きな活用を勧奨しています。戦略面は⇒経済産業省、組織面は⇒厚生労働省のHPに支援策が掲載されています。ちょっと覗いてみると様々にアイデアが浮かぶと思います。 

 

今月のトピックス

パワーハラスメント防止措置 ~中小企業の義務化~ 

特定社会保険労務士  喜志 久美子  

1.はじめに

 2020年6月1日に強化された「職場におけるハラスメント防止対策」により、2022年4月1日から「パワーハラスメント防止措置」について中小企業も義務化となりました(2022年3月31日までは努力義務)。
 ここ10年ほど、労働局に寄せられる相談内容の1位は断トツで「いじめ・嫌がらせ」となっています。パワハラは、世代や環境によってズレも生じやすいのですが、職場全体で認識を共有し、働きやすい環境を整備していきましょう。

2.職場における『パワーハラスメント』の定義

 職場で行われる、次の①~③の要素全てを満たす行為をいいます。

①優越的な関係を背景とした言動
 業務を遂行するに当たって、言動を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することが困難な関係を背景として行われるもの(上司から部下だけでなく、同僚または部下からの言動による行為も含まれる)

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
 社会通念に照らし、その言動が明らかに業務上の必要性がない、又はその態様が相当でないもの

③労働者の就業環境が害されるもの
 その言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること
 この判断に当たっては、同様の状況でこの言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当

※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラには該当しません。

3.職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の6類型

①身体的な攻撃(暴行・傷害)
 殴打、足蹴り、物を投げつける等

②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
 人格を否定するような言動、他の労働者の前で威圧的な叱責を繰り返し行う等

③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
 集団で無視をし職場で孤立させる、別室に隔離する等

④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
 業務とは無関係の雑務を行わせる、達成不可能な目標を課し、できないことを厳しく叱責する等

⑤過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
 嫌がらせや退職に追い込むために仕事を与えない又は簡単な業務のみを行わせる等

⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
 職場外でも監視する、労働者の性的思考や病歴、個人情報等を、了解を得ずに他の労働者に暴露する等

※パワハラに該当するかに関しては、個別の事案を総合的に判断するため、6類型に当てはまらなくても認定されるケースがあります。

4.【義務】職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置

事業主の方針等の明確化および周知・啓発
 ①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
 ②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
 ③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
 ④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
 ⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること
 ⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
 ⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
 ⑧再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)

併せて講ずべき措置
 ⑨相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
 ⑩相談したことを理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

※労働者が事業主に相談したこと等を理由として、事業主が解雇その他の不利益な取り扱いを行うことは、労働施策総合推進法において禁止されています。

5.終わりに
 対応を誤った場合には、会社が責任を問われることも多いため、ハラスメントを未然に防ぐことが大変重要と考えます。パワハラだけでなく、セクハラやマタハラ(妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント)等、あらゆるハラスメントについても同様のご対応をお願いいたします。


私の部屋       「 電子書籍 」

 
 最近、電子書籍を利用するようになりました。
 電子書籍はスマートフォンやタブレットなどでいつでもどこでも読めるため、電車・バスでの移動中などちょっとした空き時間に読んでいます。
 電子書籍のメリットは、なんと言ってもかさばらないことです。本を購入しても物理的な整理が必要ない電子書籍は、物を整理することが億劫な私にとって助かっています。
 また、電子書籍はおトクなキャンペーンが多くあり、割引価格で購入できたりしますが、おトクにつられてついつい購入してしまい、クレジットカードの利用明細を見て後悔することも・・・。
 おトクという誘惑に負けないよう、電子書籍と上手く付き合っていこうと思う今日この頃です。


 

あとがき
 介護の末、昨年ご両親を相次いで亡くした幼なじみに招かれ、自宅にお邪魔した。しんみりするかと思いきや、年明けから通っているライ●ップで10数kgの減量に成功し、歯も白くなり、家の中もDIYでおしゃれに模様替えして、やりたいことに挑戦する日々らしい。そうだよね、自分の人生だもの、前向きに楽しまないと!(喜志)


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