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(発行日 2022年8月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

代表取締役・税理士  坂部 達夫


 新型コロナウイルス蔓延防止の観点から、テレワークが推奨され、それに伴い押印廃止が幅広く実施されることになりました。書類に押印するためだけに出社せざるを得ないということは、ある意味ナンセンスでした。ちなみに、税務書類に印鑑が必要なものは、納税の猶予あるいは相続税・贈与税の延納の申請に添付する「担保提供書」、相続税申告書に添付する「遺産分割協議書写し」の2つと、銀行印の押印が必要となる税金の振替依頼書やダイレクト納付利用届出書、一部の特殊な委任状のみとなります。これ以外は、申告書も含め一切押印(署名は必要です)は不要です。 
 行政手続きや民間の商慣習による書類には、今後押印不要の議論が進むと思いますが、問題は、押印無しの書類の「真正性の証明」と言われています。これについては、真正性の証明手段、例えば、本人確認書類や電子署名、電子メールなどで代替できるのではと議論されています。いずれ欧米並みにサインのみでOKとなるのかもしれません。

 

今月のトピックス

店舗販売と通信販売の境界線 ~そのチラシは通販広告?~ 

太樹法律事務所 弁護士  高橋 善樹  


1.はじめに

 コロナ禍の中、飲食店がテイクアウトを始めたり、店舗販売の小売店がネットでの販売を始めたりすることが多くなっているように見受けられます。例えば、飲食店のテイクアウトのチラシや店舗のホームページ等を見ると、商品、価格と電話番号、ファックス番号だけを記載して、注文を受け付けるという内容のものを見掛けることが多くなっていますが、このような販売方法は通信販売に該当します。通信販売に該当すると、特定商取引法による規制を受けることになります。折角、生き残りをかけて新たな選択肢を広げたにもかかわらず、法律違反を指摘されることになっては元も子もありません。

2.通信販売の定義

 通信販売とは、事業者が郵便等の方法により売買契約又はサービス等の役務提供契約の申込みを受けて行う、商品又は役務等の提供をいいます(特商法2条2項。ただし、電話勧誘販売(特商法2条3項)に該当するものを除く。)。
 通信販売では、事業者がカタログ、ダイレクトメール、ホームページ等により広告し、消費者が広告を見て郵送、電話、ファックス、インターネット等で購入の申し込みを行うことが通常であるため、消費者の契約の申し込みの手段・方法で定義したものです。

3.通販広告を行う場合の表示義務

 通信販売では、消費者が購入意思を決定するための必要事項として、販売価格、送料、代金の支払方法、支払時期、商品の引渡時期、事業者の氏名(名称)、住所、電話、ホームページ等を広告に表示する義務があります(特商法11条)。

具体的な記載方法等については「特定商取引法ガイド-通信販売広告について」参照
通信販売広告について|通信販売|特定商取引法ガイド (caa.go.jp)l

 このような規制を知らないと、注文自体は、商品、価格、電話番号やファックス番号がわかれば申し込みが可能で、注文を受け付けることもできるので、飲食店のテイクアウトのチラシや事業者のホームページに、商品、価格、電話番号やファックス番号だけを記載して、注文を受け付けて商品を販売してしまいがちですが、これは、特商法11条に違反します。

4.電子メール広告・ファックスにより広告する場合

 事業者は、消費者の請求や承諾がない限り、電子メール広告を送信することが禁止され、消費者から請求や承諾があった場合、そのことを記録し、3年間保存する義務を負います(特商法12条の3)。
 送信する電子メール広告には、広告を拒否する場合の意思表示ができるように連絡方法を表示しなければならず(特商法12条の3)、拒否した消費者に以後電子メールの送信が禁止されます。なお、ファックスによる広告も同様です(特商法12条の5)。

5.消費者の自己都合による返品

 事業者が返品特約に関する記載を適正に行っている場合、返品特約は有効ですが、その記載がない場合、消費者は契約を解除できます(特商法15条の3)。例えば、返品を受けない場合、「食品類、通電後の電化製品、オーダー商品、使用済み商品」などと具体的に記載しておく必要があります。通信販売は不意打ち的な勧誘といわれる訪問販売の場合等と異なるため、「クーリングオフ」制度はありませんが、消費者が商品を手に取ることができないため、返品期間を設けて任意の返品に応じる対応を行う事業者も多く見られます(返品特約)。なお、ここでの返品は、瑕疵がある場合や不良品である場合の返品とは別の話です。
 事業者は、消費者の自己都合による返品について、返品を受けられない場合、その旨広告に明示しておかないと8日間は返品を受けなければいけないことになっているのです。
 返品特約の記載のない飲食店のテイクアウトのチラシや食料品店舗のインターネット広告を出している事業者は、自己都合による返品を申し出た消費者に対しても、特商法上は返品を受けなければいけないことになります。実際上、飲食店のテイクアウトでの返品はあまりないと思いますが、食料品の販売などではないとはいえません。また、その他の商品では、例えば、通電後の電化製品、オーダー商品、使用済み商品等、返品されては困るような商品について、返品に応じられない場合はその旨を、条件付きで返品を受け付ける場合は、その条件を明示することが必要です。
 返品特約は「顧客にとって見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法でその他顧客にとって容易に認識することができるよう表示する」必要があります(特商法施行規則第9条3号、第16条の3)。

具体的な表示方法については、経済産業省の「通信販売における返品特約の表示ガイドライン」を参照することが必須です。
130220legal_6.pdf (caa.go.jp)

 さらに、インターネット通販の場合、広告表示に加えて、返品特約の表示を最終申込画面にも重ねて表示する義務があります(特商法15条の3第1項但書括弧書、特商法施行規則第16条の3)。


私の部屋       「 節 目 」

 
 最近同級生たちからライフスタイルの大きな変化を報告されます。子供が生まれた、結婚した、転職した、引っ越した等々、悩みや不安もあったのでしょうが、報告の時点では楽しみの方が大きいような所感です。ここ数年は遊びに行こうなどの気軽な連絡ができなかったためにタイミングが重なっただけかもしれませんが、年齢的に節目となる年に合わせて大きな決断をしたんだな、と感心しています。
 私のライフステージに変更の兆しはありませんが、旧友たちへお祝いをしていると、こちらまで何か成し遂げたような気持になります。直接お祝いに赴くのを躊躇う世の中なので、試行錯誤し喜びと激励を送る日々です。


 

あとがき
 「数十年に一度の災害」が最近は頻繁に起こっている。温暖化が原因と言われているが、地球も老齢化かと勝手に思っている。今まで大丈夫だったからこれからも、とはいかない。地球も人間も・・。(喜志) 


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