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(発行日 2022年12月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター
はじめに
税理士 坂部 達夫
令和4年10月3日より、個人事業である「坂部達夫税理士事務所」から「税理士法人坂部綜合会計」に税理士業務を移管しました。これは、法人の方が機動的・総合的な動きができる組織であり、事業承継(事業の継続性の確保)という視点からも有用であると判断したことによります。税理士事務所は、各種申告書の作成及びその申告の前提となった会計帳簿等の作成支援、それに伴う相談や税務署対応等が主な業務となります。ところが、経営や個人の資産承継の現場では、税金の計算だけでは済まされない様々な依頼が飛び込んできます。これらの依頼の遂行には様々な問題を解決することが必要となりますが、税理士事務所は、この問題の整理と解決をいつ誰が行うのかを「見える化、俯瞰化」することが求められます。このノウハウは、私が35年間追い求めている業務であり、通常の税理士の本来業務とは質の違う、それでいて税務の諸問題の解決を含んでいる業務です。税理士法人になっても、このノウハウは承継し、ブラッシュアップしていくつもりです。
令和5年1月から、NP通信社の発行する「月刊情報誌 税理士新聞」に「会計事務所のコンサルブック」という連載を始めます。ご興味がある方はご覧ください。
今月のトピックス
シェアリングエコノミーによる新たな経済の可能性と税の問題 |
野澤理恵税理士事務所 税理士 野澤 理恵
近年、インターネット上のフリーマーケットサイトやマッチングサイトを通じて個人等がモノやサービスを提供する、いわゆるシェアリングエコノミーが拡大しています。
シェアリングエコノミーを利用したことがなくても、Uber Eatsや出前館で食事のデリバリーを依頼できること、メルカリというインターネット上のフリーマーケットで不用品の売買ができることは広く知られているのではないでしょうか。
2021年度の日本におけるシェアリングエコノミーの市場規模は2兆4,198億円であり、現状ペースで成長すると2030年度には7兆6,455億円(ドラッグストアの市場と同程度)になると予想されています(株式会社情報通信総合研究所・⼀般社団法⼈シェアリングエコノミー協会の共同調査「シェアリングエコノミー関連調査 2021年度調査結果」より)。
1.シェアリングエコノミーによる経済社会の変化
シェアリングエコノミー取引の「場」であるインターネット上の仕組みをデジタルプラットフォームといい、プラットフォームの運営事業者をプラットフォーマーと呼びます。
デジタルプラットフォームの出現により、パソコンやスマートフォンさえあれば、そのモノやサービスを必要としている多くの人と、時間をかけずに小さなコストで取引することができるようになりました。本業がある人でも、学生や主婦(夫)であっても、使っていないモノや隙間時間を利用して手軽に所得を得ることが可能になったのです。
2.シェアリングエコノミーの効果
シェアリングエコノミーには大きく分けて以下の5つの区分があります。
●空間のシェア…空き家や会議室、駐車場等の空間を貸し出す
●移動のシェア…車や自転車のシェア、またこれらを持つ人による食事や買い物の配達
●モノのシェア…中古品の売買、今は使っていないモノを貸し出す
●スキルのシェア…仕事や家事・相談事等を、発注・受注する
●お金のシェア…他の人々や組織、プロジェクトに金銭を貸したり、提供したりする
シェアを利用することで労働力の獲得や労働参加が可能となる、遊休資産の活用を通じて豊かになる、モノの再利用によりCO2排出量が減少するなどの効果があります。
3.シェアリングエコノミーの税務上の問題点
一方、税の観点からは課税もれが問題になってきています。シェアリングエコノミーによる収入は一定の場合確定申告が必要ですが、インターネットを通じた取引であるため匿名性が高く、比較的少額かつ多数の取引であり、今まで申告をしたことがなかった人々にも申告義務が生じているという3つの特徴があることから、課税もれが起こりやすい状況にあります。国税庁が発表した令和2年度のシェアリングビジネスの一件当たりの申告もれ所得金額は1208万円もありました。
課税庁は適正申告の環境づくりとして、税務手続きについての情報発信やスマートフォンでの確定申告を可能にするなどの納税者の利便性の向上を行っています。また収入を得ている人の情報をプラットフォーマーから取得できるような法整備がなされ、実際に東京国税局がウーバーイーツジャパンに対し、配達員の報酬などについての情報提供を求めました。
世界各国でもシェアリングエコノミーを通じた所得の課税もれが問題になっており、プラットフォーマーから課税庁に対して支払調書のような報告書の提出を義務付ける法整備が次々と行われています。またこれを一歩進めて、プラットフォーマーによる源泉徴収制度を創設する国も出てきました。
日本においてプラットフォーマーによる源泉徴収を実現するには様々なハードルがありますが、源泉徴収制度は比較的小口かつ多数の納税者から効率的かつ確実に税を徴収する方法であり、必ず源泉徴収される給与所得との公平性を考えても、源泉徴収制度を取り入れることを検討してもよいのではないでしょうか。
4.おわりに
経済社会はたくさんのお金を稼いでモノを大量に所有し廃棄するという形から、シェアを使ってより効率的に、また環境にも配慮して生活するという形へと変わりつつあります。
社会の重要なインフラとなりつつあるシェアリングエコノミーの成長を税制が阻害しないよう配慮しつつも、税の公平性を実現できる制度を検討していくことが重要でしょう。
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私の部屋 「 身長が縮んでいる 」
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子どもは背が伸びていきますが、中高年になると徐々に背は低くなっていくらしい。
健康診断で身長を測定するたびに毎年少しずつ背が低くなっていく。今年は少しでも伸ばそうと顎の位置に注意しながら思いっきり深呼吸し息を止めて測定しましたが、背は伸びず逆に0.4㎝低くなっていました。162㎝あった身長が現在は159㎝、3㎝も縮んでいます。私の場合は、姿勢が悪いので背骨が左に曲がっているためだと思います。
背が縮んだことで、一番高いところに陳列してある食器の出し入れに苦労しています。
身長が若い頃から4㎝も縮んだ場合は、骨粗しょう症の疑いがあるそうなので、機会があったら検査を受けてみようと思っています。
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あとがき
興奮して眠れない夜なんて何年振りだっただろう・・サッカーW杯ではまさに一喜一憂しながら大きな夢を見させてもらった。暗いニュースが一瞬で吹き飛ぶほどの素晴らしい活躍だったが、目標に届かなかったとの涙も美しく、4年後の夢の続きを楽しみにしている。(喜志)