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(発行日 2023年9月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士  坂部 達夫


 多くの営業関係で働いている人・・・いや、それだけでなく総務でも人事でもさまざまなジャンルで働いている人に、考えていただきたいことをお話しします。これは、自分の経験の蓄積を受けて、あるときピンと閃いたことです。
 商談にしても雑談にしても、スムーズに事が進むときは、相手の人の顔を思い浮かべながら話していることに気が付きました。相対で話している時でも、電話をしているときでも、噂話をしている時でも、相手の顔を思いながら話すと、自分のほぼ思い通りになるような感じです。逆に相手の顔が思い浮かべられないような心的状況では、事態は空回りや悪化へと向かうようです。  
 少なくとも相手の顔を思い浮かべることができれば、自分中心の思考からは、相手よりに傾くからではないかと考えています。過去の私は、どうしたら相手に自分の想いが通じるだろうと考えて話をしていました。うまく伝わらなければ、不器用な自分をなじり、判ってくれない相手を(ちょっと)恨んだりしたこともあります。相手の顔を思い浮かべながら話すとそんな感情からも距離を置くことができるようになります。

 

今月のトピックス

どうする中小企業の保証債務 

堂野法律事務所所長 弁護士 堂野達之  


1.中小企業の保証債務をどうするか

 ほとんどの中小企業は金融機関から借入れをしており、自社の負債の多くを借入金が占めています。代表取締役社長(多くは主要株主、オーナー)が金融機関からの借入金債務(主たる債務)の連帯保証をしていることがほとんどです。
 経営が厳しくなったときや、社長がそろそろ引退しようとして事業を承継させたいというとき、会社の借入金と併せて、社長自身の連帯保証債務をどうするかが大きな問題です。
 最近は物価高や人手不足など、外部環境は不透明性を増しています。経営者の高齢化も進んでおり、新型コロナ禍による社会経済の激変により、自社の経営をどうしていくべきか、根本的に考え始めた社長も多いでしょう。保証債務にどのように向き合うかは、より切実になってきます。

2.保証債務の処理を考えるにあたって

 保証債務をどうするかは、会社の借入金債務(主たる債務)が完済の見込みがあるのか、完済は難しいのかによって方針が変わります。
 経営者の保証債務の処理に関しては、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を主眼として、2013年に「経営者保証に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます。)が策定・公表され、金融機関が遵守すべきルールとして機能しています。

3.主たる債務が完済可能なとき

 保証契約の解除が最も求められるのは事業承継時でしょう。親族や社員などに承継させるにせよ、第三者に承継(M&A)させるにせよ、多額の保証債務が後継者を躊躇させることが多いからです。
 その際には、(1)前経営者の保証債務を解除できるか(2)後継者に保証契約を承継しなくてよいか、が問題となります。
 (1)については、前経営者が実質的な経営権・支配権を手放して、完全に経営から退くかどうかが重視されます。
 (2)については、最も大切なのが①会社の十分な債務返済能力(10~15年程度で完済が目安です)であり、加えて②財務状況を適時適切に金融機関に開示すること、③法人と経営者個人との関係の明確な区分・分離、が求められます。①については、業績が堅調で十分な利益(キャッシュフロー)を出せる内容の、実現可能な事業計画を示すことが重要です。
 2019年12月に策定・公表された『事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則』は、前経営者、後継者の双方から二重に保証を求めることを原則的に禁止しています。
 2022年12月に経済産業省・金融庁・財務省が「経営者保証改革プログラム」を公表しました。金融機関に対する監督指針が改正され、事業者との間のコミュニケーションを密にすることが求められています。
 債務者側が経営者保証の解除を求めるにあたっては、どの部分が十分でないために保証契約が必要なのか、どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるかを個別具体的に質問し、その際、可能な限り、収益力については数値面で、その他の要素については客観的・具体的な目線を示してもらうのがよいでしょう。

4.主たる債務が完済不能なとき

 主たる債務が完済不能な場合、保証債務の整理(免除)についてガイドラインで定められています。
 保証人である経営者が事業再生や早期の事業清算を選択し、これの経済合理性を債権者が認めるのであれば、一定の残存資産を手元に残し、その余の資産を換価処分して一括返済(又は分割返済)し、残っている保証債務の免除を受けられるというのがガイドラインの骨子です。
 また、ガイドラインの運用を開始してからは、会社を清算(多くは破産)した上で、経営者保証人の再起(再チャレンジ)のためにガイドラインを活用して保証債務の免除を受ける事例も増えています。
 保証債務免除を受ける要件としては、①債権者にとって経済合理性があること(主たる債務と保証債務を併せて、破産よりも回収額が低くならないこと)、②保証人の誠実性(情報開示を適時適切に行うこと)、③主たる債務について私的整理手続か法的整理手続(破産など)による整理を行うことがあります。
 保証債務の免除にあたって、保証人に残せる資産は、①自由財産(現金99万円など)、②一定の生計費、③華美でない自宅、などです。②③については、ガイドラインを使うことにより破産よりも回収見込額が増加した範囲内という制約があります。これとは別に、④オーバーローンの不動産(物件価値が被担保債務額よりも低い)は残せる可能性があります。


私の部屋       「 年齢と体重 」

 
 コロナウイルス感染症の影響で運動する機会がほとんどなくなり、年々増加していく体重に危機感を覚え、筋トレや軽い運動をはじめました。
 コロナ前は定期的に運動していたのであまり体重を気にすることはなく、少し太ったなと思ってもすぐに体重を戻すことができていたので、今回も大丈夫と思っていたのですが、なかなか痩せることができないため、今まで気をつけていなかった食事にも気を遣うようになりました。運動しなくなったことによる影響はもちろんですが、年齢も30代半ばを迎え、もう20代の頃のような体とは違うんだなと実感する今日この頃です。


 

あとがき
 コロナの引きこもりから脱出して数か月、特急あずさに乗って長野へのひとり旅に行ってきた。田舎道を自転車でのんびり走って、おしゃれなカフェで本を読んで、松本城の天守にも登り、もちろん蕎麦も堪能して大満足。ひとり遊びの楽しさを知ったらやめられない。さて次は・・(喜志)


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