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(発行日 2023年10月13日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士  坂部 達夫


 アメリカの酒場ではやった「You Pay」という遊びがあります。指の形をした小さい真鍮の板(真ん中に突起があり、ルーレットのようにクルクル回る。)を回して、止まったときに指がさした人が、飲み代を払うというゲームです。
 弊所の35周年を記念し、この指型をした真鍮の板を作りました。ただし、真鍮の指には「You Pay」ではなく「You Win(貴方の勝ち)」と刻みました。
 例えば、5人でテーブルを囲み、この板を回すと、自分以外の人を指す確率は4/5ではなく、限りなく100%に近いことに気が付きます。自分を指さないのであれば、ほかの人を応援することのほうが、よほど気が楽。そういう世界観に気が付くかもしれません。
 もちろん、支払者を決めるという使い方でも、結構楽しいです。言葉では伝えにくい「物」なので、弊所HPの「会長コラム」にて近々写真をアップする予定です。在庫は十分にありますので、ご希望の方は「HPの問い合わせ」を通してお申し出ください。お分けいたします。


 

今月のトピックス

中小M&Aガイドライン(第2版)について 

弁護士  皿谷 将  


1.本稿の趣旨

 2020年3月、中小企業庁は「中小M&Aガイドライン」(以下「MAGL」という。)を策定した。MAGLは後継者不在の中小企業だけでなく支援機関にも向けられた指針であり、その中でも特にマッチング支援等に従事するM&A専門業者に向けられた部分は、後継者不在の中小企業を対象とするM&A(以下「中小M&A」という。)の業界全体から注目され、コロナ禍における中小M&A活発化とも相まって、相当な議論を呼び起こしてきたように思われる。そのような中、本年3月16日に中小企業庁が開催した「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会(第8回)」において、MAGLの見直しが始められ、この見直しの結果としてMAGL(第2版)が本年9月22日に策定されたところである。この度は、このMAGL(第2版)の内容について、簡単ながら解説をさせていただきたい。

 【「中小M&Aガイドライン」を改訂しました】
https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230922004/20230922004.html

 なお、当職は、2019年9月から2022年3月までの2年7か月にわたり、経済産業省中小企業庁事業環境部財務課にて、課長補佐(経営承継)として、MAGLを含む中小企業のための事業承継・引継ぎ支援策の立案等に関与したが、本稿はあくまで執筆時点における当職の個人的見解を記したものであり、所属した組織の見解ではないので、この点についてはあらかじめお断りさせていただきたい。

2.MAGL(第2版)の特徴

 まずMAGLの見直しにおいて特にフォーカスされた事項の1つが、譲渡側・譲受側の双方から手数料を受領する仲介者又は譲渡側・譲受側の片方のみから手数料を受領するFA(フィナンシャル・アドバイザー)との仲介・FA契約締結前の重要事項の説明(以下「重要事項説明」という。)である。具体的には、仲介者・FAは、仲介・FA契約締結前に、当該契約に係る重要な事項を記載した書面を依頼者に交付して(メール送付等といった電磁的方法による提供を含む。)、明確な説明を行うことが求められている。特に「直接交渉の制限に関する事項」と「責任(免責)に関する事項」が明記された点は、重要事項説明において注目すべきポイントである。また、仲介者における利益相反リスクに関する考え方も整理されている。「重要事項説明」と言うと宅地建物取引業法(宅建業法)35条に定める重要事項等の説明を想起する方も多いと思うが、宅建業法における当該説明はあくまで個別の売買契約等(物件や取引条件等に関する事項)に関する説明であり、MAGL(第2版)が求める重要事項説明とは異なっている。
 このほか、支援機関における人材育成や倫理観の醸成に関する項目を新設し、明示している点も重要である。適切な中小M&A支援に向けた意識の高まりが感じられる。
 今般のMAGLの見直しでは、あくまで支援機関の中でもM&A専門業者を中心とする仲介者・FAに関する記載の変更が主に行われており、それ以外の他の支援機関(商工団体、金融機関、士業等専門家、M&Aプラットフォーマー、事業承継・引継ぎ支援センター)に関する記載については、実質的に大きな変更は行われていないといえる。

3.MAGL(第2版)が実務に及ぼすと思われる影響

 MAGL策定当時から参考資料6「仲介契約・FA契約締結時のチェックリスト」が整備されているが、今般の見直しではこれが修正されたほか、参考資料11「M&A仲介契約/FA契約 重要事項説明書サンプル」が追加されたことから、税理士や弁護士といった士業等専門家において、依頼者と一緒に重要事項説明書の記載事項を確認していく形での助言(これも広義のセカンド・オピニオンの一種といえる。)のニーズも高まるように思われる。それはある意味で、一般的な業法規制のない中小M&A業界において、外部の士業等専門家等によるチェックがより浸透する契機となるかもしれない。
 また、前述のとおり、MAGL策定から約3年が経過したばかりのタイミングにおける今般のMAGLの見直しは、対象範囲があくまで一部に限定されていることから、今後数年間のうちにまた新たな見直しの機会が生じるかもしれない。
 加えて、MAGLの遵守を求める形で創設されたM&A支援機関登録制度(情報提供受付窓口を含む。)が、MAGL(第2版)の遵守を求める形になることで、適切な中小M&A支援に向けた意識が更に高まるかもしれない。
 今後も、MAGL立案担当者の一人として、MAGL(第2版)策定以降の更なる動向に期待したいと考えている。


私の部屋       「 年齢と体重 」

 
 来年1月に行われる箱根駅伝大会が第100回となるそうです。ご存知の方も多いとは思いますが、箱根駅伝は関東の大学だけで開催していますので、関東以外の大学は出場することができません。ただ今回は100回の記念大会ということで、関東以外の大学も予選会へのエントリーが認められ、そこで上位13校までに入れば本選出場が可能になるようです。この原稿が配信される頃には既に結果は出ていると思いますが、1校でも予選会を通って本選に出場し、大会を盛り上げてくれることを期待しています。


 

あとがき
 男子バスケットボールと男子バレーボールのパリ五輪出場決定か、決勝トーナメントには進めなかったが熱い闘志を見せてくれたラグビーW杯か、どちらを書こうかと悩んでいたら、藤井聡太八冠のニュースが・・。真剣な闘いにはいつも心打たれるものがある。(喜志)


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