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(発行日 2024年8月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士   坂部 達夫


 デフレから順調にインフレにシフトし、給与も水準を切り上げるかに見えました。日銀も金融緩和策を手放し、金利のある世界へ誘おうという矢先、市場の大混乱が起きました。8月5日(月)の株式市場の大暴落です。識者は、この「出来事」を何と名づけるのでしょうか。1987年の米国市場の混乱から起きた暴落日を識者は「ブラックマンデー」と名付けました。この時の下落幅は、△3,836円でした。今回の5日の市場の下落幅が△4,451円、前週末2日の市場が大暴落と言われて△2,216円の下落幅。合わせると△6,667円です。
 政府筋は、落ち着いて対処しましょうと喧伝していますが、大事なお金がみるみる目減りしていく恐ろしさは経験したものでなければ判らないでしょう。
 私も処方箋を持っているわけではありません。ただ言えることは、7月11日(木)の日経平均最高値(42,426.77円)からの8月6日(火)の日経平均最安値(31,156.12円)間の下落率は26.5%であるということです。まだまだ下落余地はあると考えていいでしょう(半値8掛2割引きが底値という格言もあるくらいです)。
 余裕資金で投資されている方は、そのまま持つ(塩漬けをする)のもありです。将来も含めた必要生活資金を投入している方は、損切も考える必要があると考えます。資金さえ残れば、自己や家族のための人的投資に振り向けられるわけですから。お断りですが、この投資判断はあくまで、坂部個人の考えです。
 NISA(少額投資非課税制度)は国民の資金を投資に志向させる制度ですが、賢明な皆さんは、無理な投資はされていませんよね。

 

今月のトピックス

不動産管理承継信託について  

積水ハウス信託株式会社  悦喜(えつき)太郎  
http://www.sekisuihouse-trust.co.jp/
東京都渋谷区代々木2-1-1新宿マインズタワー20F 
電話03-5352-8300 携帯090-4443-5701
mail:etsuki001@sekisuihouse-trust.co.jp


1.信託法と信託業法の改正と影響

 信託法は大正11年の制定以来、80年以上ぶりに全面改正され、平成19年9月30に施行されました。信託業務を「生業」としている会社などを規制する信託業法はその前に改正され、平成16年12月30日から施行されています。信託業法による規制は、信託財産の活用などを受託する「信託銀行や信託会社などの専門事業者(以下、「信託専門業者」と言います)」が対象になります。この改正信託業法により受託可能財産の制限が撤廃され、これまで信託銀行に限定されていた信託業の担い手が拡大され、金融機関以外の業種の会社も信託業に参入することが可能となりました。この規制緩和により、信託銀行の信託プロダクトでは行き届かなかった、特に個人規模の不動産の信託をハウスメーカーや不動産会社といった専門性を持つ会社が免許または登録を受けることで行うことができるようになりました。

2.商事信託と民事信託との違い

 平成19年9月30日に施行された信託法の改正により「民事信託」という新しい財産管理の仕組みが注目されるようになりました。この「民事信託」は、「信託」という手法を活用して財産管理を家族自身が担う、いわば「家族の家族による家族円満のための信託」であり、「家族信託」と呼ばれることも多くなっています(他に事業承継のための信託や会社の組織のための事業信託などがあります)。信頼のおける家族に気軽に財産を信託できる仕組みは画期的なものではありますが、一方で一個人が負う受託者としての義務、受益者や委託者とのやりとりが負担にならないかなど、慎重な運用が求められる側面もあります。また民事信託は、自然人や法人(とはいえ自然人が管理する)が事務を受託します。民事信託は原則として自然人が財産管理を行う義務を負うため、長期間にわたるもの、二次相続以降の承継の道筋付けを定めるもの、あるいは不動産にまつわる建築・借入れ・賃貸事業運営といった専門性を帯びたものについては、最初の設計段階で頓挫するケースも多く見受けられます。この場合、信託業法の中でしっかり監督される、信託を業として行う信託専門業者に受託者を依頼すると信託の安定性も高まります。受託者が自然人等である「民事信託」に対し、信託専門業者が受託者を引き受けるものを「商事信託」といいます。

3.商事信託のメリット

 「民事信託」は信託業を営む者以外が受託者となる信託で、受託者となる者の多くは個人です。この場合その個人の生活や経営環境の変化により、その財産管理に少なからぬ影響を受けるであろうことは想像に難くありません。この不安定さの解消や専門性の欠如を補うものが「商事信託」です。信託専門業者が、財務大臣の監督下で委託者や受益者のために、しっかり財産管理をしてくれるのですから。一方で業としている信託専門業者に支払う信託報酬などの費用が発生します。この信託の効果が、報酬に見合うかどうかの検討が必要になります。
 以下、どのようなケースが商事信託のメリットを受けられるのかを列挙します。

 ①不動産を活用する場合など専門性の必要な財産管理
 ②長期(例えば不動産の建築費用のローンの残債期間など)にわたる財産管理
 ③託せる家族・身内がいない場合の財産管理
 ④二次相続以降の承継など受益者を連続させる、いわゆる「受益者連続型信託」


4.不動産管理承継信託

 商事信託が可能な財産の中でも、特に信託と親和性が高いのは不動産です(長期にわたる、専門性が必要など)。特に不動産の活用・承継に特化した不動産管理承継信託が注目されています。これは、賃貸経営において賃料下落、借入金利変動、維持修繕金負担等の「外側のリスク」のみならず、オーナーの認知能力の低下、オーナーの代替わり後の承継、管理負担、共有等の権利の枝分かれといった「内側のリスク」を信託の仕組みによって軽減するものです。オーナー自身による建築・借入れ・賃貸事業運営が困難な状況のサポートが可能となっています。

5. 不動産管理承継信託の利用ニーズ

 ①賃貸事業の問題 (不慣れ、管理能力に乏しい、遠方居住、健康上の不安、配慮必要な後継者)
 ②権利状態の問題(共有、借地、遠方、狭小)
 ③権利承継の問題 (独身、実子不在、相続人が多数、代襲相続、相続人不在、争続、寄付等) 
 ④借入れ問題(借入れ難、高齢、承継者に乏しい、連帯保証、借地



私のオススメ       「 防災地下神殿 」

 
 数年前からその神殿のような壮大さが評判だったため、昨年の秋、友人と一緒に行ってきました。正式名称は「首都圏外郭放水路」です。
 神殿部分に降りる前に、パネルによる防災システムの説明があり、なぜこの施設が必要なのか、どのように作動するのか等を教えてもらい、豪雨災害が増えている今、こういう施設に守られていたのだと感じました。見学コースは4つありますので、体力ともご相談のうえ、興味のある方はネットで予約してから行ってみてください。
 ちなみに、最寄り駅は東武野田線(アーバンパークライン)の南桜井駅ですが、徒歩で30分程度かかります。タクシーはいないと考えてください。のんきな私たちは歩くしかありませんでした・・。マイカーかレンタカーを調達してからぜひ!

首都圏外郭放水路 (gaikaku.jp)


 

あとがき
 パリオリンピック、毎日あちこちで熱戦が繰り広げられていたが、応援する私も息苦しくなるほど、まさに固唾を飲んで見守った。勝っても負けても精一杯の力を出し尽くす選手の姿は称賛でしかない。悔しい想いは何倍にもなって次の戦いに向かっていくはず。ガンバレ!(喜志)


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