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(発行日 2025年4月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター

はじめに

税理士  坂部 達夫


 友人と親しく話す機会があり、来年、勤務先を完全引退だということを聞きました。一般の会社は65歳で離職というケースが多いのですが、彼の会社は70歳まで定年延長できたそうです。子供2人は手を離れ、奥さんは趣味に勤しんでいるとのこと。彼は、仕事一本で特に趣味もなく「犬か猫でも飼おうと思っている。」とのことでした。若いころから女性以外の生き物には関心を示さなかった彼を知っている私は、こう言いました。「ペットを飼うと制約が大きくなる。うちは、レオン(犬の名前)がいるので、夫婦で泊りは無理。朝は5時から起こされたりしている。ちょっとした仕事をするほうが楽しいと思うけど」言葉には出しませんが、私の心の声は、「犬と猫を並列させること自体わかっていないなあ(まったく違う取り扱い)。依存する家族がいないからと言ってペットが依存先になるかというとそれは無理。最後は自分一人になるのだよ。」・・・。他人事ではないですね。


 

今月のトピックス

税理士の目から見た生成AIの活用状況

菅沼俊広税理事務所 税理士 菅沼 俊広  


 近年、税理士業務においても生成AI(Generative AI)の利活用をどのようにすべきか検討が進められています。
 生成AI(ジェネレーティブAI、Generative AI)は、人工知能(AI)の一種で、大量のデータを学習し、それに基づいて新しいコンテンツを生成する技術です。従来のAIが定められたルールやパターンに基づいて作業を自動化するのに対し、生成AIは創造的な成果物を生み出す点で革新性があります。
 生成AI には、ChatGPTや類似の生成AIツール(Gemini、Perplexity、deepseek)等があり、テキスト生成(自然な文章や要約文を自動生成。対話型や記事作成など幅広い用途で活用可能)、画像生成(テキスト指示に基づき画像を自動生成。写実的からイラスト風まで多様なスタイルに対応)、動画生成(短時間で高品質な動画を作成。プロモーションや教育コンテンツ制作に活用)、音声生成(テキストから感情豊かな音声を作成。ナレーションや吹き替えなどで利用)をすることができます。
 税理士事務所で生成AIを活用することで、業務の効率化を図ることができると言われています。



1.生成AIの活用事例


(1)文書作成とレビュー
 税務資料や報告書のドラフト作成を自動化し、人間による確認作業に集中できる環境を整備できます。また税務相談チャットボットやレポート自動作成ツールを利用することで、属人化した業務プロセスを改善できます。
 利用する生成AIツールによって異なりますが、GeminiやPerplexityでは税務相談についてもかなり正確な回答が作成できるようになってきています。
 例えば公益財団法人日本税務研究センター税務相談室で公開している「税務解説即答3問」の質問に対する回答に近い回答が生成AIを利用することで作成することができます。

(2)仕訳入力の自動化
 OCR技術と自然言語処理を組み合わせたツールにより、紙証憑やネットバンキングデータを基にした仕訳入力が効率化されてきています。JDL社を始め主要な会計ソフトメーカーではAIOCR機能がつけられており、業務の効率化がすすめられてきています。

(3)顧問先対応の強化
 一般の方には理解することが難しい税法の専門用語について生成AIを利用することで、顧客にとって理解し易い説明をすることができるようになってきています。

(4)税務リスク分析
 過去の申告データや調査履歴を基にリスク要因を特定し、申告内容の自動チェックをすることができるようになってきています。国税庁では、税務調査の分析等に生成AIの利活用を始めています。

2.生成AI活用のメリット

(1)業務効率化とミス削減
 仕訳入力の自動化により手作業が減少し、人的ミスが大幅に削減されます。従来のOCRに比べ、AIOCRは読み取り精度も向上しており、有効に利用すれば、仕訳入力にかかる時間を大きく削減できます。

(2)付加価値業務へのシフト
 定型的な作業(顧問先からの一般的な税務相談対応等の業務時間の削減)から解放されることで、税務戦略立案や顧問先への提案など、高付加価値業務への集中ができるようになります。

(3)競合優位性の確保
 生成AIを活用することで、サービス品質向上と顧客満足度向上につなげることができます。

3.生成AI活用のデメリット

(1)専門性不足による誤解
 生成AIツールは万能ではなく、専門的な税務判断には限界があります。誤った情報提供や判断ミスが発生するリスクも考慮する必要があります。
 生成AIはハルシネーション(人工知能(AI)が事実に基づかない情報や誤った内容を生成する現象)を起こすことがあり、生成AIの回答については、そのまま利用するのではなく、回答内容の正確性について十分検討することが必要です。

(2)セキュリティとプライバシー
 個人情報を含む重要な顧客データを扱う税理士業務では情報漏洩リスクへの対応が重要です。生成AIが学習したデータには個人情報が含まれており、また、質問に含まれる個人情報は、生成AIの学習に利用されるため、個人が特定される個人情報については、利用にあたって時に注意することが求められます。

4.今後の生成AIと税理士

 このようなデメリットはありますが、生成AIは継続的に学習することができるため、今後は精度も向上していくことと思われ、また、deepseek等の新しい技術も進んできているため、利活用を検討しておくことが益々重要になってくると思われます。
 生成AIは税理士業務における効率化と付加価値創出を実現する革新的な技術です。一方で、その導入には専門性不足や本格的な活用をする場合のコスト等の課題も伴います。 
 これらを克服しながら活用することで、顧客満足度向上と競争力強化につながります。税理士としては、新しい技術を積極的に取り入れつつ、その特性や限界を理解した上で最適な運用方法を模索していくことが求められます。


私のオススメ       「 千駄ヶ谷将棋会館 」

 
 昨年、千駄ヶ谷駅前に新しい将棋会館が完成したとのことで、休日に遊びに行ってきました。建物の中には、自分と同じレベルの相手と将棋がさせる道場や、グッズ等を販売している売店等があり、将棋好きには堪らない空間となっています。道場では老若男女合わせて100人ほどの方が将棋を指しており、普段の生活では味わうことが出来ない体験を満喫してきました。また千駄ヶ谷には新宿御苑や新国立競技場等、散策するには困らない場所が数多くあります。将棋をなさらない方でも、これからの季節、千駄ヶ谷周辺を訪ねてみるのはどうでしょうか。

将棋会館|将棋連盟について|日本将棋連盟


 

あとがき
 運転免許の更新時期となり、ここ数年運転の機会もないのでマイナ免許証に切り替えてみた。少し手間はかかったが無事にマイナポータルでも確認できるようになった。私の周りにはまだマイナンバーカードを持っていない人もいるのだが・・そろそろ動きませんか。(喜志)


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