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(発行日 2025年7月15日) 編集・発行 株式会社 アサヒ・ビジネスセンター
はじめに
税理士 坂部 達夫
今回は書籍の紹介です。某所でたまたま手に取った本がとても読みやすそうでした。イラストと話しことばで書かれており、1ページ見開きで1話完結となっています。47話からなり、程よい厚さ、紙質、シンプルな表紙からなっている書籍です。筆者は浄土真宗のお坊さんで、過去の自分の体験・聞き取りからなっています。内容は、亡くなった家族(母、父、おじいちゃん、おばあちゃん、子供)に対する、残された人の「独り言」で構成されています。例えば、「母さん、あの時行きたがっていた○○に行ってきたよ。その土産、お前の好きだった△△だよ。(40歳で亡くなった妻に)」とか「おまえも、もう二十歳なんだねえ。ビールで乾杯しようか。(13歳で亡くなった息子に)」などで、そのイラストがとても素敵です。この本を読めば家族に優しく接する事ができるかもしれません。改めて紹介しましょう。
瀧本光静著 「最後に伝えたかったこと」 (株)彩図社 2011年1月24日発売
今月のトピックス
令和7年度税制改正 |
飯岡 千瑛
令和7年度の税制改正について、いくつかピックアップしてその内容を説明します。
1.【所得税】基礎控除の引上げ
基礎控除の金額は、合計所得金額132万円以下の場合95万円に、132万円超2,350万円以下の場合は58万円に引上げられました。ただし令和7・8年に限り合計所得金額655万円以下の居住者には一定額が加算され、合計所得金額132万円超336万円以下の場合88万円、336万円超489万円以下の場合68万円、489万円超655万円以下の場合63万円が適用されます。
2.【所得税・住民税】1に伴う合計所得金額要件の見直し
基礎控除の引上げに合わせて、扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額要件も58万円以下に引上げられました。またひとり親の生計を一にする子の総所得金額の要件は58万円以下に、勤労学生の合計所得金額要件は85万円以下に引上げられます。
3.【所得税・住民税】給与所得控除の引上げ
給与収入金額が190万円以下の場合の給与所得控除の金額が65万円に引上げられました。
4.【所得税・住民税】特定親族特別控除の創設
生計を一にする19歳以上23歳未満の子や孫など一定の親族(特定親族)の合計所得が58万円を超えても所得控除を受けられるように、特定親族特別控除が創設されました。特定親族の合計所得金額が58万円超123万円未満までの場合に、下図のように控除を受けることができます。特定親族の合計所得金額が58万円以下の場合は特定親族特別控除の対象にはなりませんが、扶養控除の対象であり、特定扶養親族の63万円控除の対象となります。

※1~4の改正に伴う給与及び公的年金等の源泉徴収事務の変更は令和7年11月まで生じず、令和7年分に関しては年末調整での減税となります。令和8年1月1日以後に支払うべき給与または公的年金等については改正後の源泉徴収金額となります。
5.【所得税・住民税】子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
令和6年の限定措置とされていた、子育て世帯(18歳以下の扶養親族を有する者又は、自身もしくは配偶者のいずれかが39歳以下の者)が住宅ローン控除の適用を受ける場合に、借入限度額上限がそれぞれ認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円となる特例が令和7年入居まで延長されました。また、新築住宅の床面積要件について、合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡以上に緩和される措置も同様に継続されます。
同じく子育て対応改修工事をした場合の住宅特定改修特別税額控除(住宅リフォーム税制)に関しても令和7年入居に延長されています。
6.【法人税】中小企業経営強化税制の延長と拡充
中小企業投資促進税制(特別償却30%又は税額控除7%)と中小企業軽減税率(所得800万円までの法人税率15%)が2年延長されました。
また中小企業経営強化税制の対象設備に建物が追加されましたが、要件として売上成長率10%以上、投資規模が1億円以上または売上高の5%以上、計画認定時の直前期売上高が10億円超90億円未満、賃上げ率一定以上等を満たす場合となります。建物を対象設備とした場合、賃上げ率2.5%以上の時は特別償却15%もしくは税額控除1%、賃上げ率5%以上の時は特別償却25%もしくは税額控除2%となります。
7.【所得税】企業型DC(確定拠出年金)・iDeCo(個人型確定拠出年金)等の拠出上限の見直し
令和6年12月から、国民年金第二号被保険者が企業年金のうちDB(確定給付企業年金)等の他制度に加入している場合のiDeCo独自の限度額が月額2万円に引上げられました。ただし、iDeCoの掛金と企業年金の掛金(各月の企業型DCの事業主掛金とDB等の他制度掛金相当額)の共通拠出限度額上限が月額5.5万円のため、iDeCoの掛金上限が2万円とならない場合があります。
また、令和7年6月20日から3年以内にiDeCo独自の上限額の廃止、第二号被保険者のiDeCoの掛金と企業年金の掛金の共通拠出限度額を月額6.2万円へ引上げ、第一号被保険者の国民年金基金とiDeCoの共通拠出限度額が月額7.5万円へ引上げられる予定です。
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私のオススメ 「 浅草観光 」
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浅草を訪れると着物を着ている方や人力車で観光を楽しんでいる方をよく目にします。そんな中、浅草の人力車を特集したテレビ番組が放送されていました。お客さんを乗せて走るには、一定以上の技量等が必要となるため、社内研修や試験があり、俥夫になりたいと挑戦する姿がとても格好良く印象的でした。体力だけでなく安全への配慮や知識、最新の観光情報、コミュニケーション能力等、私には研修を終えることすら難しそうです。
事前連絡すれば英語、中国語、韓国語等も対応可能とのこと。過去に浅草観光した方も違った視点で希望のオリジナルコースを巡る優雅なひと時を過ごしてみるのはいかがでしょうか。
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あとがき
映画「フロントライン」を観た。コロナがまだ他人事だった2020年2月、横浜港に停泊したクルーズ船の中で発生した集団感染に向き合った人たちの記録である。混乱の中、誤解や誹謗中傷に負けずに闘ってくれた方々には感謝しかない。ぜひ観てほしい作品である。(喜志)